「英もよう~女形ひとすじ 二代目 英太郎の生涯」

こんな本を読みました。女性が男性を演じるのは宝塚歌劇団、OSK日本歌劇団などレビューの世界ですっかり定着。そしてその逆に、男性が女性を演じるのは歌舞伎と大衆演劇でのショーしかない!?と思われがちですが、新派にも女形という存在があるのです。花柳章太郎さん、初代 英太郎さんらが有名ですが、残念ながらその芸が見ることはできなかったのですが、二代目 英太郎(はなぶさ・たろう)さんの舞台はたびたび見ていました。2016年に81歳で亡くなられました彼をしのんで、昨年11月に出版されたのがこの本。その生涯や演劇評論家・水落潔さんへのインタビューで新派の歴史、他の演劇との違いなどが綴られています。

さらに興味深いのは、英さんが実家の隣町・新潟県の吉田町にあった「銀の星少女歌劇団」に男性として1人だけ参加していたこと。私は宝塚歌劇が初公演した後に全国で誕生した少女歌劇を調べ、『少女歌劇の光芒』という共著を発表したのですが、その過程で、英さんの楽屋を訪れて取材したことがありました。「下駄でタップを踏んで踊ったら、花柳(章太郎)先生が驚かれた」といったおもしろいエピソードも飛び出したのですが、この本にはそれも紹介され、著書名も明記されています。そういえば、『ベルサイユのばら』の植田紳爾さんに、「ひとり芝居」の戯曲を書いてもらったというのも聞き、植田さんにも確かめたのですが上演されなかったそう。ぜひそれも見たかった。(大久保サチ子編、幻冬舎、1200円

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