「ドクちゃん―フジとサクラにつなぐ愛―」
  2024年5月3日から、なんばパークスシネマなど全国順次ロードショー、5月10日から、京都シネマ、5月18日から元町映画館

 ゴールデンウィークの最中にこれを執筆。テレビなどでは円高のなか、海外旅行を満喫する家族らが紹介され、そのなかでも物価が安いベトナムが人気だという。商店街を列車が走る〝観光スポット〟などを楽しんでいるが…。「ベトナム戦争を知っている子供」だった筆者には、どうしてもそれがダブってきて、ストレートに笑顔を見ることができない。
 1955年から1975年まで続いたベトナム戦争。そのなかで、使用された枯葉剤の影響を受け、結合双生児として1981年に生まれたベトちゃん(グエン・ベト)、ドクちゃん(グエン・ドク)。7歳の時に分離手術を受け、別々に暮らすようになったが兄のベトちゃんは2007年に死去した。こうした経緯は節目ごとにニュースとして取り上げられ知ってはいたが、「その後のドクちゃん」は知らなかった。この映画は、これまで全五大陸を旅しドキュメンタリーを制作している川畑耕平が監督を務めている。
 片足を失い不自由な暮らしを強いられてはいるが、ここの描かれているのは「懸命に明るく、前向きに生きようとしている」夫であり父。2人の子供(フジ、サクラ)を後ろにオートバイに乗り、一緒にボウリングを楽しむ様子は、観る前に「構えていた」自分が恥ずかしくなるほど自然。ただ、映画のためもあってなのか、心情的に疎遠になっている両親、姉と会ったり、生まれ故郷を訪ねる。私には若干の「作為」も感じたが、「涙の再会」とならないのも、現実だ。
〈内容〉現在のドクさんは夫として、父として、2024年」2月25日で43歳を迎えた。結婚18年目を迎える妻のトゥエンさんと、双子の子供であるフジくんとサクラさん、そして闘病中の義母を自宅介護しつつ、自身も入退院を繰り返しながら一家の唯一の稼ぎ手として暮らしている。
【監督・編集】:川畑 耕平
【出演】:グエン・ドク グエン・トゥエン グエン・フーシー(フジ) グエン・アンダオ(サクラ)
【配給】:ギグリーボックス   2022 Poker Face Film Holdings Pty Ltd

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