「放送人 高橋信三とその時代」(著・辻一郎)

600ページ近いぶあつい本、読了しました。、高橋信三さん(1901年~1990年)は、毎日放送社長(1961年~1977年)、会長(1977年~1980年)をつとめ、その遺志を継いで「公益信託 高橋信三基金」(1993年~2021年)を設立した人物の生涯を綴った本。著者の辻一郎さんは、同局で報道畑を歩み、89歳の現在もお元気に活躍されている。

 いわゆる「評伝もの」ではあるが、偉大さだけに焦点を当てるのではなく、人間的な喜怒哀楽、そしてときおり、同じ時代を過ごした辻さんの思い出話に〝脱線〟するのも、また楽しく興味深い。

 毎日放送とはいろいろとご縁があり、それなりに歩みを知っていたつもりだったが、いろいろ興味深いエピソードが満載。例えば、毎日放送の前身・新日本放送を立ち上げる時、高橋さんは小林一三さんに助言を求めた。その時に、小林さんは「うちの人間手伝わそう」と人を送り込んだという。また、1952年に新日本放送、朝日放送、毎日新聞、朝日新聞のによって設立された大阪テレビジョン放送が2つの分かれる時、どちらが「大阪テレビジョン」を引き継ぎ、どちらが1からスターとするかになった時、なんとくじ引きをsたという、いまではありえないエピソードなどが紹介されている。

 そしていま。同局だけではないが、夕方の情報番組がだんだんと報道色からバラエティー色が濃くなっていく昨今。報道、ジャーナリズムというものを考えるいい機会になった。なお、同局では、「映像」シリーズという硬派な番組を深夜に放送し続けていて、5月14日からはそれを再編集した「教育と愛国」という映画が公開される。試写を見たので、それはまた改めてあくことにする。

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