藤山直美、前川清「恋の法善寺横丁」」

歌舞伎、文楽などの古典芸能、ミュージカルなどと並んで商業演劇というジャンルがあります。メインターゲットは団体客や高い年齢層なので、老齢化に加えて、コロナ禍で大ダメージを受け、最近は全国的にもめっきり減りました。この公演も2年前の3月に上演を予定されていて、大々的に制作発表までしたのに、コロナによって延期に。それがようやく上演されました。主役は藤山直美さん、前川清さんと、この世界では圧倒的な動員力があり、今回も久しぶりに観客がほぼ客席を埋める光景を見ることができました。しかも、演出は、某放送局でプロデューサー、ディレクターをしている竹園元さん。在阪放送局の頃からの知り合いで、待望久しい公演でした。

 2人はもちろん、僧侶役の池之めだかさんも、吉本新喜劇でのギャグ連発をちょっと抑えて、軽妙な演技を披露。寺の改修費を集めるルーティーンが笑いを誘いました。さらに、一般的には「無名」ながら、商業演劇の舞台ではおなじみの演技が確かな役者たちが脇を固めて、「安心」して楽しみことができました。

ただ欲を言えば、第2部に「オンステージ」があるため、時間に制約があり、2人が愛を深めていくプロセスや「勘違い」する物語の大事な伏線が足りないこと。いずれにしても、マスコミの演劇担当記者らにも、とかく「軽く」見られがちなジャンルですが、こうした熟練たちの技はもっと評価されるべきだと、ずっと思っているのです。

大阪・新歌舞伎座で1月31日まで。

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