「特集 笠置シズ子」
    2024年3月30日~4月19日
 NHKテレビ小説「ブギウギ」(2023年10月~2024年3月)で脚光を浴びた笠置シズ子。1985年に71歳に亡くなったので、彼女のバイタリティ、明るさを〝新鮮〟に感じる人も多いだろう。私などは、歌手を引退した後、テレビ番組「家族そろって歌合戦」での「関西弁のおばちゃん審査員」が印象に残っている。その後、少女歌劇を調べるうちに大阪松竹歌劇団(OSSK)在籍当時の活躍ぶりが、どの資料にも載っていて、さらに凄さを知ることに。さらに、昔の娯楽映画を観ていると、主役をくう強烈な印象を残すことも多い。
 そんな彼女の出演映画9本をそろえた特集。コンプリートを目指しているが、まずは、次の2作を観た。
「銀座カンカン娘」(1949年、監督・島耕二)
 タイトルや服部良一が作曲した同名の歌は知っていたが、観たのは初めて。先日、「カルメン、故郷に帰る」(1951年)を観たので、まずは高峰秀子の可憐さ、ミュージカル女優としての才能を再認識。笠置と2人が、銀座の盛り場で〝流し〟をする物語で、劇中シーンで「銀座カンカン娘」デュエット。笠置は「ジャングル・ブギ」「ラッパと娘」も歌うのだが、全編ではなく残念!ストーリー自体は単純明快、ちょっとご都合主義?それをカバーするのは、いまとなってはなんとも豪華な共演者たち。高峰の恋人役に灰田勝彦、下宿先の老夫婦は古今亭志ん生、浦辺粂子、巨漢のコメディアンとして人気があった岸井明など。なかでも、志ん生は、顔のアップで数分にわたって落語も披露。これも貴重な映像だった。

「果てしなく情熱」(1949年、監督・市川崑)
 服部良一が作曲した「雨のブルース」「蘇州夜曲」は淡谷のり子、山口淑子(李香蘭)と本人が歌うほか、笠置は「ブギウギ娘」「セコハン娘」を披露。と書くと名曲をちりばめた音楽映画を想像するが、和田夏十(市川崑夫人)の脚本はシリアス。堀雄二が演じる作曲家が曲作り、妻とは別の女性を愛した苦悩する姿を描いている。笠置は作曲家と幼馴染と言う設定で、「セコハン娘」を歌う不満などを、けっこうキツめに語る役柄。新しい一面。といえばいいのだが、明るいメロディと深刻な表情の主人公たちの姿は、やはり違和感があった。
なお、CSのホームドラマチャンネルでは2024年4月から、この上映作とはまた違う作品を放送しているので、これもチェックを。個人的には、笠置が主演した「女道中ワクワク道中」(1951年)が観たい。この映画には戦後すぐに「西部の拳銃王」という触れ込みで来日したB級映画の脇役、ケニー・ダンカンを調べていて、この映画で笠置と共演しているから。もしかしたら念願叶う?  そんな期待も膨らませてくれる笠置ブームだ。

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