「変な家」

   2024年3月15日から全国公開

テレビにラジオに映画に、と今引っ張りだこの佐藤二朗が、間宮祥太朗とW主演で挑み、石川淳一監督がメガホンをとった注目作。2020年10月にアップされたYouTube動画、人気沸騰で書籍化され、今回の映画化につながったもので、いかにも現代的なルートで世に出たエンタメ作品である。
物語の発端は1枚の間取り図。駅近、築1年。好条件の物件なのに何故か安い。そういえば間取りに気になる点が・・・。ある人物から相談を受けて、動画クリエーターの雨宮(間宮祥太朗)が、ミステリー好きの設計士・栗原(佐藤二朗)を巻き込んで、奇妙な家の調査に乗り出す。ここまで聞いて、「どうせ、壁の中に死体でも塗り込めてあるんだろう」と思った人は大間違い。ドラマはシンプルな滑り出しから、創造性豊かな物語へと展開する。
おっとり型の雨宮と、好奇心旺盛な変わり者・栗原のコンビのキャラクターもしっかりしていて、ドラマ全体にどこかコミカルなムードを醸し出し、扮する佐藤二朗と間宮祥太朗のキャスティングが成功した形。古典的なオカルトのスタイルを踏襲した前半シーンには戦慄が走るが、ラストの後味が意外なほど良いのは、バディー・ムービーのワクワク感を取り入れたせいだろう。
劇中では、実物大の家を真上から見下ろして、俯瞰的に中が見えるように工夫したセットが使われている。観客が部屋の配置を見下ろしながら、家の構造と設計者の道徳感の関係性を読み解いていく仕掛けで、美術も健闘している。家はそこに住む家族のルールや秘密がある場所だ。100の家があれば100の秘密がある。雨宮と栗原を、何が待っているのか。結末が読めないミステリーだが、頭脳を使ったゲーム感覚のシナリオなので、オカルトが苦手な人でも肩の力を抜いて楽しめる。
(2024/日本/1時間50分)
配給 東宝 
©2024「変な家」製作委員会

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