大阪松竹座開場100周年記念
「松竹特選落語会 これはめでたい上方落語の看板・周年・襲名揃い踏み」
2023年11月25日
大阪松竹座  午後1時30分開演

開場100周年を迎えた大阪松竹座(大阪市中央区)。洋風建築が目を引く劇場に、松竹芸能に所属している落語家と女道楽の5人が出演する催し。それに先駆けて10月26日に出演者全員が黒紋付の正装で取材会を行った。この日、83歳の誕生日を迎えた上方落語界最古参、桂福團治をはじめ、芸歴45周年の内海英華、40周年の笑福亭松喬、30周年の笑福亭銀瓶、今年5月に二代目を襲名した桂春之輔というそれぞれ節目を迎えた5人が「100周年」を祝う。
いまは外国観光客でにぎわう道頓堀だが、かつてこの周辺には「道頓堀五座」と言われる角座、浪花座、中座、朝日座、弁天座という5つの劇場があって、にぎわった。そのうち、角座は落語、漫才、色物を駆ける演芸場だった。ちなみに、松竹座は主に映画館として活用されていたことで「五座」には含まれていないが、他の劇場がなくなった現在ではその頃の風情を残している貴重な存在。福團治、英華、松喬らは角座に出演していた経験もあるだけに、その頃を振り返る言葉も。それらも含め、さすが話芸に秀でた人たちだけにサービス精神はもちろん、なかなの「至言」も飛び出し、実りのある会見になった。
【コメント】
◆道頓堀について
「落語家になって63年、角座で育てられた。若い頃にはストリーキングをやったこともありました(笑)」(福團治)。
「18歳なのに、先輩によく呑みに連れていってもらいました。その頃から、ふつうにご飯を食べて呑むところになりました」(英華)。
「師匠(先代笑福亭松喬)のかばん持ちで道頓堀に来た時、雪駄を直すからと雪駄屋に行ったところ、そこの職人風の大将が「角だっか?中だっか?」と聞かはって、師匠が「角です」と答えはりました。角座に出る芸人か、中座に出る役者かと聞かれたということで、そのやりとりがカッコええなあ。芝居と演芸の街なんやなあと思いました」(松喬)。
「妻と初めてキスをしたのが道頓堀です。そのときに嫁はんが「角だっか?中だっか?」と聞きました(笑)」(銀瓶)。
「芸名も付いていない頃、師匠に「はり重(高級飲食店)で好きなモン食えるような芸人になれよ」と言われました。毎日は無理ですが、盆と正月くらいは食べられるようにはなりました」(春之輔)
◆松竹座の印象
「60周年記念でやった時、寄席の空気とまた違うなと感じました」(福團治)。
「3階までお客さんが見えて、こちらから発信する以上にお客さんから迫ってくる反応があり、やりやすい劇場です」(英華)。
「ここは甲子園球児があこがれている甲子園のような場所。しゃべりやすい小屋です」(松喬)。
「3階から拍手のシャワーを浴びているような感激がありました」(銀瓶)。
「二代目桂春團治師匠50回忌公演では花道で踊った経験があって、落語家ではあんまりいてないと思います」(春之輔)。
◆この公演への抱負
「先輩たちが育ってきた道頓堀でやれることが嬉しいですね」(福團治)。
「色物で出せていただけるのは嬉しい歴史のなかで名前が刻まれることは光栄です」(英華)。
「2020年2月に独演会をやりました。もし1週間先だったら、コロナで中止になっていただろうし、運がいい人間だと思ってます」(銀瓶)。
「5月に襲名させてもらい、その公演ではトリ(最後の出番)をさせていただきましたけど、今回は最初の出番なので、元気いっぱいに演じたい」(春之輔)。
【演目】
「口上」福團治・英華・松喬・銀瓶・春之輔
「お楽しみ」(演目未定)春之輔、銀瓶、松喬

写真は右から笑福亭銀瓶、内海英華、桂福團治、笑福亭松喬、桂春之輔

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