「MEG ザ・モンスターズ2」

2023年8月25日公開
「大きいことはいいことだ!」。ちょっと(だいぶ?)古いフレーズを思い出した。海を舞台に、人間と巨大な生物との闘いを描いた映画としては、「白鯨」(1951年)もあるが、これは文芸大作としての評価が高い。一方、エンタテイメント作として海の巨大生物、それもサメが登場する映画の始まりは、「JAWS/ジョーズ」(監督・スティーブン・スピルバーグ」第1作(1975年)。当時はまだCGが導入されていなかったため、サメの模型を人間が操作する方式で撮影。そうした理由と制約のため、サメの登場シーンは意外に少なく、それがかえって「得体が知れない存在」を強調する効果にもなり大ヒットした。
その後、CG技術が進化。ある分析によると、サメのなだらかな皮膚感、複雑とも言えない泳ぎのパターンは、無数の毛におおわれた生物と比較するとCG化しやすいこともあって、サメが登場する映画が続出したという。空を飛んだり(「シャークネードカテゴリ」=2014年)、複数の頭を持ったり(「ダブルヘッド・ジョーズ=2012年)と、サメを扱った海洋パニック映画が続々と作られた。低予算のB級作品が多いそれらのなかで、「JAWS」シリーズと並びエンタテインメントとして完成度が高いのが、2018年に公開された「MEGザ・モンスター」。CG技術の向上とあいまって、サメが全編にわたって登場して躍動し、人間との壮絶な闘いを展開。「JAWS」を超える海洋パニック映画史上最高の興行収入を記録したのだった。初期の「JAWS」がホラー映画の要素もあるとすれば、「MEG」は正真正銘、徹底した海洋パニック(アクション)大作と言えるだろう。
5年ぶりに公開されるこのシリーズ第2弾は、前作と同様にジェイソン・ステイサムが主演。いまや「ワイルド・スピード」シリーズなどで「アクション映画の一流ブランド」となっている彼が、多くのシーンをスタントなしで体当たりに挑んでことで、映像から〝説得力〟がひしひしと伝わってくる。
タイトルの 「MEG」とは、約1800万年前から150万年前に実在したとされる全長23メートル、重さ20トンあった実在の巨大サメ・メグロドンの通称。前作よりもさらに狂暴化、リゾート地の海岸で楽しむ人々に襲いかかるのを、ステイサムが演じる潜水レスキュー、中国で有名なアクション俳優、ウー・ジンが扮する海洋研究所所長らが立ち向かう。しかも、MEGだけでも厄介なのに、さらなる生物も出現。万事休す!という展開に、「そういう手があったかの」という奇策で免れるという連続、テンポよく次々と登場するピンチ脱出シーンに、「それはないだろう」と思いながらもハラハラして、「やった!」の繰り返し。ここまでいっぱいアイデアを満載したら、パート3にアイデアは残っているか?といらない心配をしてしまうほど凝縮した2時間だった。
〈ストーリー〉潜水レスキューのプロ、ジョナス・テイラー)は、海洋調査チームとともに地球でもっとも深いとされるマリアナ海溝へと潜り、人類未踏の約10キロの深海へと向かう。そこで彼らは謎の生命反応を探知、触れてはならないMEGの群れと遭遇する。それらはやがて深海からビーチにまで襲来し、テイラーたちは絶体絶命の危機に陥る。
監督:ベン・ウィートリー ・出演:ジェイソン・ステイサム/クリフ・カーティス/シエンナ・ギロリー 配給:ワーナー・ブラザース映画
コピーライト: 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

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