2023年8月4日から公開

ディズニーからこの映画の試写会に招待され、観る機会があった。ディズニー&ピクサーによるアニメは数多く公開されてきた。オモチャ(「トイ・ストーリー」)や魚(「ファインディング・ニモ」)、車(「カーズ」)、モンスター(「モンスターズ・インク」)と、いろいろなキャラクターを主人公にして、楽しませてきた。そして、今回は火、水、土、風というエレメント(元素)が〝出演〟、これまで以上にチャレンジなコンセプトと言えるだろう。
これらはもともと「四大精霊」として、それぞれに精霊が宿っていると言われていて、これまでにもドラマに登場。例えば、メーテルリンクが書いた童話「青い鳥」には、火の精、水の精などが出てくる。また、水の精はウンディーネと呼ばれていて、「オンディーヌ」(作・ジャン・ジロドゥ)という芝居もあって、演劇ファンに親しまれている。ちなみに、その系譜のなかに人魚があって、「リトル・マーメイド」に繋がるのだが、これはまた別の話…。
このアニメも、情熱的で熱い「火」のヒロイン・エンバー、水分多めで涙もろい「水」のウエイドというように、それぞれの性格がわかりやすく描かれている。しかも、アニメだからこそ火の揺らめき、透き通って泡が浮く水というように、エレメントたちの喜怒哀楽をビジュアルで表現できるというもの。さらに、本来は「火と水」という相容れない存在が、互いに惹かれあっていくという設定は、『ロミオをジュリエット』にも通じる、許されない恋でもある。といって、もちろんディズニー&ピクサーだけに、そうしたドラマを華やかに、明るく楽しいファミリー映画に仕上げている。
同時上映は、「カールじいさんのデート ダグの日常」。2009年の「カールじいさんの空飛ぶ家」で〝デビュー〟した老人が主人公の短編。これも当時、ディズニー&ピクサーにとってはチャレンジだっただろうが、私にとっては(世代的なこともあって)好きな1作。妻との出会いから結婚、別れ(妻の死)までを短時間で印象的に描くシーンに感動したものだ。そのスピンオフでもある作品もおかしさのなかに、ペーソスが漂う。どちらにも、大人から子供まで楽しめるディズニー&ピクサー、ならではのサービス精神がある。
〈ストーリー〉火・水・土・風という4つの“エレメント(元素)”たちが暮らすエレメント・シティには、ひとつだけルールがある。 それは、「違うエレメントとは関わらない」こと。シティのはずれにあるファイアタウンに暮らす <火>の女の子エンバーは、大好きな父の雑貨店を継ぐことを夢見ていたが、いつも失敗ばかり。ある日、エンバーは偶然に<水>の青年ウェイドと出会う。正反対の2人だったが、 ウェイドはエンバーをファイアタウンの外へ連れ出す。 ずっとファイアタウンにいたエンバーは、 初めて世界の広さに触れ、 ふと自分の新たな可能性を考え始める。ウェイドは一緒に新しい世界へ踏み出そうと彼女に伝えるが、 エンバーは心に灯った気持ちを抑え込んでしまう。そんな時、大事件起こるが、<火>と<水>のふたりは、この危機を救う“奇跡の化学反応” を起こせるのか・・・?。
監督・ピーター・ソーン。プロデューサー・デニス・リーム。日本版声優:・川口春奈(エンバー)、玉森裕太(ウェイド)、MEGUMI(ゲイル)、伊達みきお・サンドウィッチマン (ファーン)。配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

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