Tom Cruise in Mission: Impossible Dead Reckoning Part One from Paramount Pictures and Skydance.

「ミッション・インポッシブル デッドレコニング」
2023年7月21日から公開

1996年、このシリーズの第1弾が製作されると知った時、ワクワクした。毎週、欠かさず観ていたテレビシリーズ「スパイ大作戦」。主役やIMFメンバーには変遷があったものの、オープニングの「おはよう、〇〇君。今回の君の使命は〇…。例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する」という大平透の低音の吹き替えがあり、糸が燃えあがり、爆弾に近づいていく映像と、ラロ・シフリン作曲のテーマソングが流れる。もう27年も経つのに、いまでも覚えているテレビドラマが、映画化。それも主役がトム・クルーズというのだから…。
その映画シリーズも第7作。「『スパイ大作戦』を知らない子供たち」(この例えも知らない人も多いだろう)が増えていて、ほとんど「独立」した人気アクションシリーズとしてヒットが続いている。私など、「知っている世代」にとっては、冒頭の「ミッション」の設定(今回もカセットテープ)、さらにクルーズが扮するイーサン・ハントらが、「最新技術の特殊メイク」ではなく、「人工皮膚を使ったマスク」を使って別人になりすまし、潜入するという原点への〝レガシー〟は嬉しい。
一方、目に見える悪をやっつける!というわかりやすく単純明確なストーリーから進化?して複雑に。誰が敵で誰が味方という図式ではなく、裏切りや共闘が瞬時に転換していく。「ユージュアル・サスペクト」(1995年)は、ある意味で先駆者的な作品で、この映画はその脚本・監督を手掛けたクリストファー・マッカリーが、製作・脚本・監督をつとめていて、良くも悪くも「大作」ならでは、複雑な構造になっている。正直、私はちょっとついていけず、冒頭の潜水艦事件と後の展開との繋がりを、筋立てて考えるのは…。
そうしたことより、文句なしに楽しめるのはトム・クルーズの命がけのアクション。列、交通ルーズを無視して、突っ走るカーチェイス、車の上での格闘というのも凄い!のに、観客はだんだん、そうしたスリルに慣れてしまって?いるよう。クルーズや製作側も、それは承知で、今回のハイライトとして撮影したのが、オートバイで1200メートル下の渓谷に向かって駆け降りて、パラシュートが開くというシーン。CGでも処理できるのだが、「クルーズが命がけの挑戦」といった撮影エピソードも含めて、「リアル」に勝るものはない。クルーズは、なんと7回も繰り返したという。そうした情報を知っていると「成功した」(当たり前)のは承知の上でも、やはり身を乗り出してしまう。
物語も「キー」になっているのは、文字通りの「鍵」。これをめぐって、虚々実々の駆け引きと、すさまじいアクションを展開。3時間近く、おなか一杯に楽しめた。しかも、「BE COTINUE」(次も続く=来年公開)。クルーズの体力、運動神経の維持はもちろんのこと、観る側も、気力と体力をキープしないと…と思わせる映画でもある。
〈ストーリー〉IMFエージェント、イーサン・ハントに課せられた究極のミッション
—全人類を脅かす新兵器が悪の手に渡る前に見つけ出すこと。しかし、IMF所属前のイーサンの“逃れられない過去”を知る“ある男”が迫るなか、世界各地でイーサンたちは命を懸けた攻防を繰り広げる。やがて、今回のミッションはどんな犠牲を払っても絶対に達成させなければならないことを知る。その時、守るのは、ミッションか、それとも仲間か。
イーサンに、史上最大の決断が迫る—
©2023 PARAMOUNT PICTURES.
※この映画については、岩永久美もアップしています。あわせてご一読ください

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