宮崎大祐監督インタビュー

2023年7月21日からシネ・リーブル梅田ほかで公開

「夜が終わる場所」「大和(カルフォルニア)」などの宮崎大祐監督(43)の新作「PLASTIC」(boid/コピアポア・フィルム配給)が7月21日から大阪のシネ・リーブル梅田ほかで公開される。音楽がつなぐ恋愛映画で「ロック世代に間に合わなかった若者の憧れを描きたかった」という宮崎監督に話を聞いた。
早大政治経済学部卒後、映画美学校を経てフリーの助監督からスタート。2011年に初長編作「夜が終わる場所」を発表し、以降5本の作品に監督として携わる。大阪を舞台にした「VIDEOPHOBIA」(2019年)はデジタル・スリラーとして映画芸術のベストテン6位に選ばれた。「大体、僕はノワールタッチが多い。今回は1974年ころの幻のミュージシャンに憧れた、ロック世代に間に合わなかった若者の青春映画です」
東京から名古屋に引っ越して来たミュージシャンに憧れる高校生のジュン(藤江琢磨)と、地元の高校に通う音楽好きのイブキ(小川あん)が物語の主人公。ジュンが路上でギター弾きながら幻のミュージシャンといわれるエクスネ・ケディの曲を歌い始めると、自転車に乗ったジュンがイヤホンの音楽にテンポを合わせながら疾走する。どちらもケディの曲である。
「ビートルズの時代にいろんな音楽が生まれたロックの時代があった。そのころにいたであろう、エクスネ・ケディというスターを象徴的に創って、間に合わなかった今の若者の思いを物語に託した。2人はそれでも高校を卒業し、別々の道を行くし、くっついたり離れたりする、2018年から2022年の間で、コロナもあって、2人の関係が揺れ動く。果たして2人は結ばれるだろうか。その辺を、ミュージカルタッチも入れながら描いた」
2人の主人公は新進若手スターで「歌の練習も含めて頑張ってもらった」という。ジュンの祖父に鈴木慶一、母に小泉今日子、イブキの母に尾野真千子がふんし、高校の教師でとよた真帆も出演している。プロデューサーはベテランの仙頭武則が担当。製作は宮崎監督が教鞭をとっている名古屋学芸大学で、学生がプロのスタッフと一緒に現場に参加している。タイトルは「プラスティックの存在(不死の命)を時代の影に置きたかった」。
宮崎監督は次回作のスリラーサスペンス「#⃣ミトヤマネ」(玉城ティナ主演。8月公開予定)を完成させている。

写真は「映画作りの目標は溝口健二監督になる」と話す宮崎大祐監督=大阪市内¬

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA