三原光尋監督の新作
6月30日から大阪ステーションシティシネマほかで公開

「村の写真集」「あしたになれば。」などの三原光尋監督(59) が39歳で若年性認知症になった夫と妻の生活を描いた映画「オレンジ・ランプ」(ギャガ配給)が6月30日から大阪ステーションシティシネマほかで公開される。宮城県に住む丹野智文さん家族の実話を三原監督が映画化。「ケアニン~あなたでよかった~」など介護・医療のシリーズを手がける山国秀幸が脚本(金杉弘子共作)とプロデュースを担当している。
会社で営業マンを勤める只野晃一(和田正人)がある日、医師から若年性アルツハイマー性認知症という診断を受ける。営業成績もよく、休みの日には仲間とフットサルを楽しみ、家庭では妻の真央(貫地谷しほり)と2人の女児に囲まれ平和に暮らしていた。それは青天の霹靂だった。めげる夫に妻は何をどうして、何を言ったらいいのか。そこから夫婦の希望と再生の物語が始まる。
真央は認知症の本を読みあさり、それに良い食材を買い、晃一を励ますが、当人はそんなこと望んでいないと反発する。しかし、晃一は妻に頼るしかなく、手のひらに「怒らない」と書いて反省する。会社でも社長(赤井英和)や仲間の配慮もあって部署を変わり、また、「認知症本人ミーティング」という会があるのを知り、そこで同じような悩みを持つ人たちの話を聞いて晃一と真央は勇気をもらうようになる。
「認知症はなおらない」「もうだめだ」と落ち込んでいた晃一がやがて「できることは自分でしたい」「困った時だけ助けてほしい」という気持ちになったことを真央は知り、「買いたいものがある」と散歩に出かける彼を送り出す。帰りが遅いので迎えに行くと、晃一は道に迷い、公園に座り泣いていた。真央はライトを灯し「私が側にいるから」と優しく抱きしめる。
貫地谷は昨年「サバカン
SABAKAN]で母親役を好演しており、今回もいい味を出す。和田は「大河への道」など堅実な役者で今回は主役で難しい役どころ挑戦。「笑顔で生きる」という仲間に伊嵜充則、山田雅人、赤間麻里子、中尾ミエら。青春ものから生活感ある人生ドラマに定評がある三原監督の静かな励ましの声が聞こえる。モデルになった丹野さんもワンカット出演している。

写真は「オレンジ・ランプ」の貫地谷しほり(左)と和田正人(C)2022「オレンジ・ランプ」製作委員会

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA