山下敦弘監督インタビュー
映画「1秒先の彼」
2023年7月7日から全国公開

山下敦弘監督(46)がメジャー第1作「天然コケッコー」(2007年)以来16年ぶりに岡田将生(33)と組んだ新作「1秒先の彼」(ビターズ・エンド配給)が7月7日から全国公開される。台湾のヒット作「1秒先の彼女」(20年、チェン・ユーシュン監督)のリメイクで、宮藤官九郎の脚本と初コンビで挑戦。「舞台を台北から京都に移し、楽しい時差ラブストーリーになった」という山下監督に話を聞いた。
タイトルは台湾版が「彼女」で、日本版は「彼」。つまり主人公の男女の性を入れ替えている。「台湾版を見て、郵便局に勤める女性のリ・ペイユーが素敵でリメイクに名乗りを上げた。ただそのラブストーリの背景が少々難解で、彼女ともう一人の彼の間に『消えた1日』というのがあって、それがある種ファンタジックに描かれる。日本版は男女を入れ替えて描くという魔法を使って、その伏線をリアルに組み立てていった」
「男女入れ替えのアイデアは大阪出身のふくだももこ監督(「おいしい家族」)からの提案。それが何事も行動が速くタイミングが合わないズッコケ郵便局員(岡田)のおかしな行動につながる。局に来る歌手志望の女の子に夢中だった岡田君が、実は別の女の子と縁があり、彼女の案内で京都の海、天の橋立に行き新たなラブスト-リーに発展していく。その女性を大阪出身の清原果耶君に演じてもらった。東京出身の岡田君も京都弁を頑張ってくれて、落ち着いた関西弁の清原君がそれを静かに受けていいムードになった」
岡田は「ドライブ・マイ・カー」で俳優の幅を広げたが、宮藤脚本のドラマ「ゆとりですがなにか」の喜劇タッチが本領。こちらも映画版になって10月公開予定だが、山下監督の「天然コケッコー」の軽妙な芝居とつながっている。「今回岡田君に助けてもらうこともあって本当にうれしかった」とほおを緩める。荒川良々、羽野晶紀、加藤雅也、片山友希、しみけん共演。落語家、笑福亭笑瓶の遺作映画になった。
台湾版「1秒先の彼女」は同年第57回金馬奨で作品賞など5部門受賞。日本版「1秒先の彼」はこのほど行われた上海国際映画祭GALA部門で上映された。山下監督の大阪芸大時代2年先輩の熊切和義監督の「658km、陽子の旅」が同映画祭コンペ部門で最優秀女優賞(菊地凜子)と作品賞、脚本賞の3冠を受賞。山下監督は「カラオケ行こ!」、アニメ「化け猫あんずちゃん」など4作品が公開待機中。

写真は「コロナでストップしていた作品も始まり忙しくなった」と話す山下敦弘監督=大阪・福島のABCテレビ

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