「レジェンドたち」との共演
浦井健治 取材会

2023年
7月26日~8月13日
シアター・クリエ
8月18日、19日 サンケイホール・ブリーゼ

◎浦井健治   取材会(2023年6月1日、大阪)

ミュージカルで活躍をしている浦井健治、山口祐一郎、保坂知寿、大塚千弘。この4人のよる舞台といえば、海外を背景に歌って踊る姿を想像するが、それとは対照的に、これは日本のある家庭を描くストレートプレイ。大河ドラマ「篤姫」などのテレビドラマを描いている田渕久美子が脚本を手掛け、東京サンシャインボーイズの作品なども手掛けた山田和也が演出するもので、このコンビでの、浦井健治、山口祐一郎、保坂知寿の三人舞台の「オトコ・フタリ」(2020年)に続く舞台。「オトコ・フタリ」も予想をはるかに上回る展開に驚いたが、今回も日常的な生活、家族が登場するなか、それぞれの秘めた事実が浮き彫りになっていく。6月1日、公演に向けて浦井が取材会を行い、私も出席した。
「今回の役柄は不器用だけど、やさしいさが突出していて、結構考えないでものを言ってしまう憎めない青年。田渕さんは僕にこんなイメージを持ってくださったんでしょうけど、マネージャーからは『こんなに純粋じゃないでしょ?』と言われました」(笑)。年齢的に、山口、保坂の劇団四季時代の作品は観ていないけれど、「ウエストサイド物語」「ロミオ&ジュリエット」などで共演された作品のことは聞いているし、僕にとってレジェンドで、そうしたたたずまいを持つ先輩たちと同じ時間を過ごせることは幸せです」。今回は、4人とも歌と踊りを〝封印〟?「この4人が出ていて、なんで歌わないの?と思われるかもしれませんが、芝居のきめ細やかさ、繊細さがダイレクトに伝わると思います」と話した。チケット・1万1000円。

※ この作品に出演する浦井、山口、保坂には個人的にもシンパシーを持っている。浦井は、拙著「男たちの宝塚」を原案にした舞台「宝塚BOYS」三演(2010年)で主役の宝塚男子部員を演じた。稽古や舞台に足しげく通うなかで、いろいろと話しをした。なかでも、強烈に記憶しているのは、稽古がまだ始まる前のこと。兵庫県宝塚市にある宝塚文化創造館(かつての宝塚音楽学校)で、実際に男子部に在籍した6人を集め、私と「宝塚BOYS」初演から出演していた初風諄が司会をつとめるイベントを開催した。すると、そこに浦井が役作りの参考に…とわざわざ東京から自費で駆けつけてきてくれた。私たちも観客も。彼の真摯に役に取り組む姿に感動したのをいまも覚えている。それから何度か楽屋を訪れたもしたが、コロナ禍もあって久々に話を交わすことができた。
※ 長年にわたった劇団四季も取材しているので、幸いなことに山口―保坂コンビの作品も数多く見ている。「ウエストサイド物語」「ジーザス・クライストスーパースター」「コーラスライン」などのミュージカルもあるが、「永遠の処女テッサ」「ハムレット」「キスへのプレリュード」といったストレートプレイも印象的。いまではミュージカル劇団のイメージが強い劇団四季だが、浅利慶太代表はストレートプレイに力を注いでいて、2人もまた、確かな演技力にも定評がある。在籍当時、会見やインタビュー、稽古場取材などで2人にはよく会った。なかでも、保坂とはいまもいさかか交流があり、私にとっては、勝手に親近感を抱く作品でもある。
(敬称略)

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