女性監督の「ライク&シェア」(インドネシア)にグランプリ
大阪から世界へーを標榜した「第18回大阪アジアン映画祭」が市内のABCホールなどで3月10日から10日間開かれコンペティション部門でインドネシアの「ライク&シェア」(ギナ・S・ヌール監督)がグランプリに輝いた。女性監督が同国のリベンジポルノ問題や旧態依然とした女性観などを扱った意欲作。観客賞も台湾の女性監督、フー・ティエンユーが撮った「本日公休」が選ばれた。
世界に先駆けて上映された新作を含めアジアの映画51本がお披露目された。コンペティション部門を入れて6本の香港映画の前評判が高かったが、インドネシアの「ライク&シェア」が見事間隙を縫ってグランプリに。女子高生の女友達がネット上で露わな姿を晒されたことで巻き起こるミーツー運動に切り込んだ意欲作。S・ヌール監督は「トラウマや性暴力を扱って作りにくさがあったが、多くの方に認めていただいてうれしい」と喜びを語った。ほかに香港の「香港ファミリー」、香港・シンガポール合作「白日青春」やジョージア「私だけの部屋」、インド「マックスとミンとミャーザキ」、インド人の監督が撮った日本映画「赦し」などがコンペ部門で競った。
観客賞を受けた台湾「本日公休」は40年営んできた理髪店の女主人が、大人になった子ども達と疎遠になり決心をする話。日本の小津映画を思わせるが主演のルー・シャオフェンに薬師真珠賞が贈られた。その他の賞では、来るべき才能賞に台湾「黒の教育」のクー・チェンドン監督、ABCテレビ賞に香港「四十四にして死屍死す」(ホー・チェクティン監督)、JAPAN CUTS Awardに日本「朝がくるとむなしくなる」(石橋夕帆監督)、芳泉短編賞に「アメリカ・カナダ・中国合作アニメ「燕は南に飛ぶ」(リン・モーチ監督)、同スペシャルメンションに台湾「できちゃった?!」(バン・カーイン監督)がそれぞれ選ばれた。
今年は上映に伴い各国からスタッフ、俳優等が来場しにぎやかになった。クロージング上映の「サイド・バイ・サイド 隣にいる人」(坂口健太郎主演)では行定勲プロデューサーと伊藤ちひろ監督がワールドプレミアの舞台挨拶を行った。女性監督が圧倒的な映画祭になった。
写真はクロージング上映「サイド バイ サイド 隣にいる人」で舞台挨拶する行定勲プロデューサー(右)と伊藤ちひろ監督