映画「GOLDFISH」
2023年3月31日からシネマート心斎橋で公開

1980年にパンクバンド、アナーキーのギタリストとして音楽界で活躍した藤沼伸一(63)が映画監督に初挑戦した「GOLDFISH」(太秦配給)が31日からシネマート心斎橋で公開される。自らのバンドを振り返った青春音楽映画で「還暦新人監督の心意気で撮りました」という藤沼監督に話を聞いた。
アナーキーは埼玉の学校の同級生5人で組んだバンドで、当時のパンクブームに乗って人気を集めた。しかし、メンバーの一人が不祥事を起こし活動を中止し何度も再結成を繰り返しながら現在も「亜無亜危異」としてバンド活動を続けている。「デビュー時からの仲間だった本作のプロデューサーから映画の話があり、昔から映画が好きだったのと、若い頃を振り返り、もう一度自分を見つめ直したいと思いやろうと決めた。2017年にオリジナルメンバーで再結成しようとしたとき、同じギタリストだった男が急逝した。そのときの話を脚本家の港缶彦さんに話し全体のストーリーを組み立ててもらった」
映画はメンバーのアニマル(渋川清彦)が生活に困り「再結成でひと儲けしよう」と言いだし、ひそかにギター教師で食っていたイチ(永瀬正敏)が渋々乗って昔のメンバーに呼びかけるところから始まる。「永瀬さんが僕の役どころで、ちょっとカッコよすぎるが、あとのメンバーも名前は違っても当時のメンバーに似ている。渋川さんは元ドラマーで昔から付き合いがあったが、どちらかというと硬派の北村有起哉さんにハルという亡くなった男を演じてもらって、リアルな展開になった。何故彼が死んだのかよりも、あのとき、2人の間の関係性みたいなものを描こうと思った」
イチは「昔のバンドは一部の人に動かされ金儲けに利用されていただけ。今度は我々が反対に利用してやろうと思う。つまり、僕らは金魚で、鉢の中で泳がされていた。金魚は元鮒で僕はもう一度鮒に戻りたいと思うが、ハルは金魚のまま死に神にとりつかれてしまう。その辺をノワールのタッチでやりたかった。北野武監督やオーストリアのミヒャエル・ハネケ監督のようなゾクッとする映像が好きなんです」
新人監督らしからぬ映像感覚が散見される青春ノスタルジー映画。「還暦新人ですから、人生、60を過ぎてからというモチーフも入っています」と藤沼監督。ほかの出演者は有森也実、成海花音、増子直純、松林慎司など。「次回作があれば本格的なノワール映画を」と付け加える。

写真は「映画を撮れて幸せな気分です」と話す藤沼伸一監督=シネマート心斎橋

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