「コンペティション」
2023年3月17日、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開
ペネロペ・クルスとアントニオ・バンデラスが共演。とくれば、甘いラブストーリーを想像するが、この映画は2人に「恋模様」はなくて、もう1人、演技派俳優のオスカル・マルティネスを加えた、皮肉もまじえて洒落たドラマ。金持ちが後世に自分の名前を残すために映画製作を思いつき、映画監督・ローラ(クルス)が映画スターのフェリックス(バンデラス)と舞台俳優のイバン(マルティネス)を起用して、コンペティションに勝ち抜くような映画を作とうとする物語。お金はふんだんに使えるし、監督が鬼才ということもあって、撮影に入る前にリハーサルを繰り返すなかで、いろいろな衝突を描いている。
シャネルをまとった監督の鋭く綿密な演出に、ちょっとうんざりする2人の俳優。「俳優」と一言でいっても、さまざまな志がある。それを、この映画では浮き彫りにしていく。
例えば、アカデミー賞など有名なコンペティションで栄冠を勝ち取り、トロフィーの数々を持っているフェリックス。一方、イバンはそんな風潮をシニカルにみていて、ファーストクラスでの移動を拒否し、コンペティションに選ばれた時に壇上でする挨拶(辞退)のスピーチを練習するほど。そんな2人のかたくなな様子に、こちらもちょっと変わった監督は、2人を動けないようにして、目の前でトロフィーなどをシュレッダーにかけて粉々にしてしまうのだ。
それでも映画製作は進み、ようやく完成するが…。この後の展開はまさに意表をついていて、やられた!という痛快な気分にしてくれる。
監督・ガストン・ドゥプラット、マリアノ・コーン。
配給・ショウゲート
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映画『コンペティション』公式サイト3/17(金)ロードショー (competition-movie.jp)