「BLUE GIANT」
2023年2月17日から公開

趣味でアルトサックスを習っていることもあって、「観てみよう」ということにしたのだが、恥ずかしながら、原作コミックは累計900万部を突破しているほど人気だとは知らなかった。そこで、いまでは全国的にも知られるようになってきた「高槻ジャズ・ストリート」の〝言い出しっぺ〟でもあるジャズ・ベーシストの高校同級生に連絡したところ、コミックはずっと読んでいるとのこと。原作コミックが、漫画ファンはもちろんプレイヤーやジャズ好きの人にも知名度抜群だというのを知った。これも余談だが、習っているサックス教師にも話したら、「この漫画を読んで、教室に入ってくる人が多い」らしい。ちなみに、その前は映画「スウィング・ガール」を観て入ってくる人が多かったとか。改めて、映画が、いろいろなことに影響を与えていることを実感する。さらに、前述の同級生によると、(劇中で主人公の宮本太が演奏するテナーサックスを担当している)「馬場智章は、注目のプレイヤーだ」と教えてくれた。これらは、すべて映画を観た後で知った情報で、試写は「白紙状態」で観たわけだが、期待以上だった。作品内容などは、このブログ内で岩永さんがアップしているので、私は感想のみをアップする。
何事かに懸命に向かい、夢を達成するというのは「ドラマの常道」で、数えきれないほど制作されている。要は、それをいかに描き上げるか?にかかっている。この作品の主人公は、エリートでも天才でもなく、どこにでもいる青年がガムシャラに夢に向かう一途さが伝わってくる。計画を立てないまま上京し、高架道路の下の河辺でひたすら吹き続ける様子が、アニメならではの少しデフォルメした描写、視覚を駆使して描かれていく。それでいて、マウスピース、リードに空気を吹き込むとき息遣い、キーの指遣いなど細やか動きも絵で「再現」されているのが、物語にリアリティーを生み出している。
その一方、友人がまったくの「0」から短期間でドラムプレーヤーになる設定。ラストで仲間のピアニストが大けがを負いながらプレイする(ネタばれ)あたりは、やや無理があるが…。いずれにしても、コミック、アニメ、ジャズに興味がある人はもちろんのこと、期待にも応えるだろうし、アニメは…と敬遠しがちな人にもお薦めしたい作品だ。

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