「SHE SAID その名を暴け」
2023年1月13日から公開

彼女が「第一声」を放たなければ、♯Me Too運動はなかった。圧倒的な権力、権限を持つ映画プロデューサーによる性的暴行で被害を受け、しかも威圧などによって、それを公けに訴えるのを「封印」されてきた女性たちが、次々に声をあげることになった。
この映画は2017年にニューヨーク・タイムズ紙が報じた記事を書いた2人の女性記者を軸にした実話を基にした物語。性的暴行というセンセーショナルな事件を題材にいていながら、そういった衝撃的なシーンをあえて描写することをしないで、当事者の数々の証言を丹念に綴ることによって事件を立体化させている。さらに、圧力をストレイトに表す暴力などの描写も登場しないのだが、それがかえって不気味だし、そういった映画にとってのある意味の「みどころ」がなくても、だんだんと真実をつきとめていくプロセスはスリリングで、ぐいぐいとひきつけられていく。
キャリー・マリガンとゾーイ・カザンが「調査報道」にまい進する記者
を演じている。根底に「正義感」があるのは間違いないが、家庭では子を持つ母で、そうした生活感もきっちりと描かれている。証言してくれそうな人物がロンドンにいる。こともなげに「ではイギリスにったら」と言う上司に、一瞬「留守中はどうしょうか?」ととまどいながら、すぐにイギリスへ飛ぶシーン
などはそれを象徴。「正義感」+「生身の人間としての怒り」が真相解明へかりたてていくことにリアリティーがある。
劇中では、人気女優の実名がいろいろと登場するが、そのなかでもアシュレイ・ジャレッドが「出演」。その勇気はすごい!
監督・マリア・シュラーダー。
※岩永久美氏も同じ映画のことを書いています。併せて読んでいただければ

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