映画「文楽 冥途の飛脚」
2022年10月17日
吹田メイシアター中ホール

映画×文楽。ということで、とても興味のある映画上映会に足を運んだ。国立文楽劇場などでは何度か観ている近松門左衛門の「冥途の飛脚」だが、こうしたスクリーンで、それも記録映画ではなく、カナダ人監督・マーティ・グロスの「視点」(編集)によるだけに、新鮮だった。しかも、1979年に京都・太秦撮影所に舞台セットを作り、音響・音楽監修に武満徹、撮影に岡崎宏三が担当しているのだから、映画作品として鑑賞した。
。初代・吉田玉男(忠兵衛)、三世・吉田簑助(梅川)、二世・桐竹勘十郎(孫右衛門、八右衛門)という、いまでは見ることができない名人たちのしぐさ、そして映像ならではの顔の微妙な動くなどが描き出される。文楽というは人形遣い、太夫、三味線で生み出す芸能だが、物語を展開するうえで、どうしてもこのように人形遣いを主体に描くことは仕方がない。そして、随所に竹本織太夫、四世・竹本越路大夫、七世・竹本住太夫の語り、そして、五世・鶴澤燕三、鶴澤清治の三味線が情感を盛り上げていく様子が登場する。さらに「冥途の飛脚」をベースにしているがそれを改作した「恋飛脚大和往来」の有名な段「新口村の段」を加えているのも、斬新。
なかなか見る機会がない作品だが、上映会などがあればぜひ、一見の価値はあるだろう。

文楽 冥途の飛脚 : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)

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