「吉本興業をキラキラにした男 林弘高物語」
KKロングセラーズ(小谷洋介・著、竹中功・監修)

エンタメ関連の本は書店や古本屋、古本市などでけっこうチェックしているつもりなのだが、2017年に発行されたこの本はいままで〝見逃し〟ていた。
吉本興業と言えば、いうまでも無く「お笑い」というイメージで、そうした歴史や分析をしたものが多く、「花のれん」をはじめとする吉本せいの人生。その弟の林正之助の逸話などは、さまざまな本で取り上げられている。しかし、吉本せいの「もう1人の弟」林弘高について、この本ほど詳細に紹介されたものは、これまでなかった。
せい、正之助が「笑い」の商売を追求した生涯とするなら、弘高は、当時としては〝ハイカラ〟な娯楽、いまでいう「ショービジネス」をいちはやく導入した人物。ちなみに、吉本興業が創業100周年を迎えた2017年、長い歴史を1カ月ごと12回にわたってドラマ化した「吉本百年物語」がなんばグランド花月で上演された。そのうち、6月には「舶来上等、どうでっか?」が上演され、弘高をミュージカルでも活躍する中川晃教が演じていた。また、吉本には大正時代に「花月乙女舞踊団」という少女歌劇団があったし、1987年の「なんばグランド花月」オープン時には、夜興行は「アメリカン・バラエティ・バン!」というミュージカルショーを上演していたし、「舶来寄席」という世界のパフィーマンスを紹介する興行も不定期で行っている。さらに、現在は「少女歌劇ミモザーヌ」を運営しているように、ショー、レヴューといった路線もあるが、つねづね、もっと評価されるべきだと思っていた。そんな時に、「めぐり会った」この本、興味のある人はぜひ読んで欲しい1冊だ。

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