「わたし達はおとな」ヒロインの木竜麻生に聞く022年6月17日から大阪のテアトル梅田で公開

映画「菊とギロチン」「鈴木家の嘘」で2018年度の新人俳優賞を総なめした木竜麻生(27)が、新作「わたし達はおとな」(加藤拓也監督。ラビットハウス配給)で新境地の演技を見せている。藤原季節(29)ふんする演劇青年と恋する女子大生の「リアルな恋愛」を描いた作品。「等身大のヒロインに没頭して、撮影が終わって精神的に何かかが変わったと思う」と手応えを感じている。
「菊とギロチン」で大正時代の女力士という役で映画初主演し、「鈴木家の嘘」では兄の自死を巡る家族の中で前向きに生きる妹を演じた。「それは群像劇で周りの共演者に助けていただいたが、今回は恋愛劇で相手は藤原さん演じる直哉一人で、リアルなセリフと仕草が要求され、とてもシンプルだけど大変だった。撮影が終わったとき、自分自身が別人間になっているような気がした」
美術学生の優美(木竜)は自分のマンションで演劇サークルの直哉(藤原)と同せいして暮らしているが、ある日、妊娠していることを彼に告げるところから2人の間に微妙な空気が流れ始める。「肝心なことにお腹の子が直哉の子か元カレの子か優美は分からない。彼はそれでも一端、産んでもいいというが、それからの日常の会話がギクシャクしてくる。文句が多くなり、ついには部屋を出て行くと言い出す。その間の2人のやりとりが、男と女の闘いのように描かれる」
優美が田舎で一人暮らしの父(佐戸井けん太)に会いに行き、仲のいい女子学生グループと楽しい時間を過ごし、直哉と付き合うようになる前段シーンなどが2人の会話劇の合間にフラッシュバックされる。優美と直哉の恋愛は理想的に見えるが、どちらにも男女のエゴが潜んでいる。「男と女の間でこんな異常なことも起こるーそんな出来事をのぞき見するような感じで面白く見ていただけたらうれしい。藤原さんは友人でとてもチャーミングな人。だから優美は直哉に騙されそうになるのかもしれない」と木竜はほほ笑む。
2人は別れるのか。それとももう一度やり直すのか。それは見る人のラストシーンの解釈で判断されるだろう。大阪出身で28歳の加藤監督は演劇畑の人でこれが映画デビュー作。「あなたはどう思う?」と撮影時に監督から聞かれて木竜は「優美は日常を取り戻そうと思っている」と答えた。「ラストシーンの優美の顔は私ではなく、知らない顔になっていた」。菅野莉央、清水くるみ、森田想、桜田通、山崎紘菜、片岡礼子、石田ひかりらが共演。

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