2024年3月1日公開
嬉しい時も悲しい時も感情を表に出さず、つねに表情を変えない。そんな人物に私はなりたい!? そうしたクールな主人公をラッセル・クロウが演じ、しかも監督もつとめた。というように、徹底した彼ありきの映画。大金を賭けてのギャンブルもあれば、アクション、家族愛、さらに 「スタンド・バイ・ミー」(1986年)を思わせる(と、プレスシートに書いてある)少年時代から続く友情など、いろいろな要素が満載。
タイトルからして、一か八かのギャンブラーの生きざまを想像していたが、「オンライン・ポーカーというのは今の時代、〈やんちゃ感〉が薄れているのは惜しい。それよりもガンを宣告された主人公の心情。それをポーカーフェイスで押し包む表情を読み取るというう映画の見方もありそう。それを象徴しているのは、冒頭に登場する肖像画を描いている女性。無表情な彼の奥に潜む人間性、魅力を察知した彼女は「モデルになって欲しい」と申し出るのだった。
一方、ドラマは高価な絵画を奪い取ろうとする侵入者が現れて、銃撃戦へと展開。アクション映画の様相にもなっていく。このように、多くの要素が詰まっていて、そのぶんお得感はあるが、それぞれの〈深度〉がちょっと浅くなったとも思えるのが惜しい。シリアスなドラマというより、娯楽作として楽しめる。
〈ストーリー〉オンライン・ポーカーゲームの開発で億万長者になったジェイク(ラッセル・クロウ)は、長らく疎遠だった幼なじみマイケル(リアム・ヘムズワース)、アレックス(エイデン・ヤング)、ポール(スティー ヴ・バストーニ)を自身の邸宅に招待。大金を懸けたポーカーゲームを開催しようと提案する。最初は昔話に花を咲かせていた参加者たちだったが、いつしか冷や汗が流れ出し、発熱と吐き気に 襲われてしまう。そこでジェイドは彼らにこう告げるのだった「毒を盛った」と。もう 1 人の幼なじみ ドリュー(RZA)も加わり、ゲームが進むにつれて見えてくる彼らの秘密とジェイドの関係。そこに予定外の侵入者が現れる。
2022年/オーストラリア/英語/94 分/原題 Poker Face: /カラー/シネスコ/5.1ch/G 字幕:金井厚樹 © 2022 Poker Face Film Holdings Pty Ltd 配給:ナカチカピクチャーズ