「夢の三競演~三枚看板・大看板・金看板 桂文珍 桂南光 笑福亭鶴瓶」
2023年12月20日 LINE CUBE SHIBUYA
12月25日 シアター・ドラマシティ
上方落語を牽引する桂文珍、桂南光、笑福亭鶴瓶の3人が結集して芸を披露する年末恒例の催し。今年で20周年(コロナ禍のため2021年は休止したので19回目)を迎えた。初回からその多くを観てきたが、今回は私にとっては2年ぶり。近年は発売開始と当時に完売になる[プレミア・チケット]。幸いなことに直前に1枚を確保することができた。大阪公演について今年はクリスマス当日でもあり、落語好きの一定の年齢層にとっては、にぎやかな一夜となった。桂天吾の開口一番「時うどん」に続いて、文珍―南光、仲入りをはさんで鶴瓶の順でそれぞれ一席を。
◇文珍「落語記念日」=古典と共に新作落語も演じていて、今回はあえて新作落語を。未来人に「落語」という芸能を伝えるというなかで、AIや半導体といった現代用語や時事ネタを盛り込んだもの。それを1つの噺として成立させる力量はさすが。3人の色あいを考えた選択だったのだろうが、次回は古典も期待。
◇南光「素人浄瑠璃」=文楽が好きで浄瑠璃を習っている南光。マクラにそういったことを話し、自然にネタへ移行。「寝床」という演目で知られている噺だが、南光の師匠・桂枝雀は〝おなじみのサゲ〟をつけずに演じることが多かった。南光もまた、その形を踏襲している。彼独特の「年季の入った声質」がうまくハマっていた。
◇鶴瓶「芝浜」=江戸落語として有名。上方では、設定を関西に移して「夢の革財布」として演じられることが多い、また、桂春蝶は夫婦が上方から江戸に引っ越してきたことにして「芝浜」として演じている。鶴瓶は、財布を拾った主人公は上方から来た人物、妻は関東という設定にしての「芝浜」。自然体を意識したためか、つぶやき風、早口の掛け合いが多く、感覚的には「0・9倍速」で聞きたかった気分。
3人の上方落語家がそろっているだけに、1つは上方独特の「ハメモノ」(鳴り物入り)も欲しい気もしたが、それが来年以降ということで。