浪花人情紙風船団「虚々実々」
   2023年12月15日~17日
   近鉄アート館
 関西を拠点に活動している紅壱子が主宰する「浪花人情紙風船団」。2000年に第1回公演を行って以来、コンスタントに上演を重ね、今回が第20回目。関西の人情喜劇とは言っても、吉本新喜劇のようなギャグを軸にしたコテコテではなく、松竹新喜劇のように「古典」を繰り返すレパートリー・システムでもない。常に「今を生きる庶民」を描き、ことさらに笑わせるのではなく、で「そうそう」と、まるで近所の人たちのやりとり(掛け合い漫才?)を見て、聞いている気にさえなるのが、このカンパニーの魅力だ。今回は、二人芝居「男女浮世回舞台」などで紅と共演している南条好輝が脚本を、紅が演出を担当している。
  意見が衝突し、家を出ていった3人の娘と関係修復したいため、自分が「死んだ」とウソをついてしまう父親、それにしょうがなく同調する母、そして人情味あふれ、お節介な商店街の隣人の姿を描いている。劇団というより、これも関西で活躍する俳優、それに宝塚、OSK日本歌劇団のそれぞれOGも参加してのバラエティーに富んだメンバー。南条―紅がその夫婦を演じるかと思っていたら、2人は「ワキ」に回って、硬軟どちらの演技も巧みにこなす大竹修造―和泉敬子が軸に。シェイクスピアの「リア王」にもインスパイア?されたような構成。ただし、3人がどれも成功しているなど共通点が多く、もう少し〝色の違い〟
が欲しい気も。
 全編のほとんどで「死者」と信じてしまう、というのもちょっと無理がある、と思ったmのだが、これには「オチ」があって、納得できなくもない。まさに、ウソかまことか、マコトかうそか?の世界 商店会の歌が「ブギウギ」風に軽快で耳に残った。こういった派手な場面は少ないが、場数を踏んで鍛えてきた役者たちの底力がよくわかる公演であった。
出演:紅壱子/和泉敬子/洋あおい/未央一/三原あや/桜花昇ぼる/大咲せり花/小安展子/サーシャ
大竹修造/南条好輝/鍋島浩/戸田都康/田村ツトム/一谷伸/和泉大輔/松谷圭悟

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