The cast of THEATER CAMP. Courtesy of Searchlight Pictures. © 2023 20th Century Studios All Rights Reserved.

「シアター・キャンプ」
2023年10月6日から公開

ディズニーから、この映画の試写に招待されて公開スタートに先駆けて観ることができた。
1980年代から2000年代初めまで、年に1度はニューヨークを訪れ、毎回、ミュージカルを5本程度(5泊7日の日程)観てまわったことがあった。日本で上演される前の「オペラ座の怪人」「レ・ミゼラブル」「ライオンキング」といった大作やオフ・ブロードウェイでロングランしていた「ファンタスティック」「ブルーマングループ・チューブス」などなど、いまでは貴重な経験だった。どの劇場に行っても観客は老若男女と幅広く、ミュージカルというジャンルが「娯楽」「芸術」として定着しているのを実感した。その大きな役割を果たしたのが、「シアター・キャンプ」。子供たちが一緒に寝泊まりして、ミュージカルなどを練習し、発表するというイベント。この映画は、それをテーマに、新作ミュージカルの上演に挑む子供たちと大人のスタッフたちの奮闘をドラマながらドキュメンタリー・タッチ(デモキュメンタリーと言うそう)で描いている。
資金が裕福にないなか、演劇スクールを開いてきた女性校長が急病に倒れるというピンチ! 急遽やってきた息子は「ストレートプレイ」(セリフ劇)を「(ストレート=性的指向が異性のセクシュアリティがあるなら)ゲイプレイもある?」とか、劇場内で無料で配布される冊子「PlayBil」を見て、「PlayBoy」(男性向け雑誌)は?というほど全くの素人。それでも熟練したスタッフのもと、新作ミュージカルを作り上げる。
随所にミュージカル好きがニヤリとするフレーズが飛び出す。冒頭に少し出てくる「バイ・バイ・バーディー」はプレスリーの徴兵をモデルにしたストーリーで、子供たちの発表会にはポピュラーな演目。また、騒がしい子供たちを集中させるために、1人のスタッフが歌うのは、「オクラホマ!」のナンバーの「Oh What a Beautiful Morning」。この他、オーディションで太目の男子が歌うのは「ウィキッド」で西の魔女・エルファバが歌うナンバー(エンドロールで、彼は実際にエルファバを演じる?という設定)という具合。
ショービジネスの世界には「SHOW MUST GO ON(ショー・マスト・ゴー・オン)」という言葉がある。「1度始めたら、何があっても続けないといけない」という意味。校長が倒れるという大ピンチから、いざ本番を迎えながらの「公演中止」の危機!? まで。ショービジネスの「SHOW MUST GO ON」の精神が貫かれていて、感動を呼ぶ。
〈ストーリー〉ニューヨーク州北部の湖畔にある演劇スクール「アディロンド・アクト」では、ミュージカルスターを夢見る子どもたちを長年にわたり指導してきた。しかし今夏のキャンプ開校を前に校長が昏睡状態となり、演劇に無関心な息子トロイが跡を継ぐことに。経営状況は破綻寸前に陥っており、スクール存続のためには3週間後のキャンプ終了までに出資者の前で新作ミュージカルを披露しなければならない。一癖も二癖もある教師たちと自由奔放な子どもたちは、期限までに舞台を完成させるべく奮闘するが……。
監督・モリー・ゴードン、ニック・リーバーマン。
2023年製作/95分/G/アメリカ
原題:Theater Camp
配給:ディズニー
※この作品の感想は、岩永久美さんもアップしています。併せてご一読ください。

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