「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」
2023年6月30日公開

「アクション」という表現より、「冒険活劇」といった言葉がよく似合う映画だ。冒頭は第2次世界大戦末期という設定。〝体を張る考古学者〟インディは、ナチス・ドイツから秘宝を奪還するための攻防戦を繰り広げるが、そのなかで奇妙な形をした「運命のダイヤル」と出会い、全編にわたって、手に汗を握る争奪戦が繰り広げられる。フェドラー帽子にレザージャケット、牛追いムチというシリーズおなじみのスタイル。それは、アメコミのヒーロー、ヒロインのコスチュームにもほうふつさせて、超人的とも言える活躍は、時代設定もあって「冒険活劇」という懐かしい響きを思い出させるのだ。
疾走する列車の車内や屋根の上でのハラハラドキドキの展開で、つかみはOK、伏線もきっちり描いている。15年ぶりに「銀幕」に還ってきたインディ=ハリソン・フォード。もちろん、この映画のために撮影されたのだが、驚くことにフォードが若い!アクションは巧みな編集で、それらしくなっているのはわかるとしても、アップとなった顔に張りがあるのだ。想像するに、最新技術による画像修正(AI生成ではない)としているのだろうが、そこに製作側のこだわり、愛も感じられた。
その1940年代から約20年後の現在?(1969年)に。大学で、世代の離れた学生相手に講義をしていた彼はリタイアの日を迎えた。ある意味では、ハリソンの実年齢や、どこかいまの状況もイメージさせるが、この映画のすごいところは、インディが友人の娘・ヘレナ(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)によって「運命のダイヤル」を思い出し、再び活劇の世界へと突入する。ここからは、元ナチスの科学者フォラー(マッツ・ミケルセン)との勝っては負け。負けては勝つという徹底した攻防が展開していく。ネタバレになるので書けないが、想像を絶する「運命のダイヤル」の効用、インディの決断もある。CGを前面に押し出したアクション大作が多いなか、シリーズもの、インディの設定などがって、どこか懐かしささえ感じる「娯楽大作」になっている。

製作・総指揮・スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス
監督・ジェームズ・マンゴールド
配給・ウォルト・ディズニー・ジャパン

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