THE FLASH

人間味があるスーパーヒーロー!

2023年6月16日公開

アメリカン・コミックのファンなら「常識」なのだが、アメリカン・ヒーローは大きく2つのグループに分かれている。スパイダーマンやアイアンマン、キャプテン・アメリカらがいるのが「マーベル」で、彼ら彼女らが組織しているのが「アベンジャーズ」。そして、スーパーマン、バットマン、スーパーガール、ワンダーガールらが属しているのが「DC」で、ジャスティス・リーグというわけ。
本作はタイトル・ロールにもなってフラッシュが主人公。いまのところ、スーパーマン、バットマンほどの知名度がないのだが、それを逆手にとっている。冒頭、彼のところに地球を救うミッション指令がくるのだが、「腹が減っては…」という主義のフラッシュことバリー・アレン(エズラ・ミラー)は準備不足とちょっと嫌がり?「他のヒーローは?」と聞くと、「みんな忙しくて、他のミッションの最中」という返事。いつものことだと、困った顔をしたりする「自虐的」なシーンもあって、カッコいいばかりではなく、〝人間味〟もあり、親近感がわいてくる。
このように随所に、ちょっとした笑いも込めて物語が進行。ただし、(これは好みの問題かもしれないが)彼の過去が大きなカギのストーリーとあって、超高速で時間を行き来する設定に、途中からちょっとわかりにくい気がした。そして、後半には大規模な戦いへとエスカレート! 1本の映画のなかで、よくも悪くも違う要素が満載で「おなか一杯」に。タイムトリップものの永遠の課題の、「歴史を変えられるか?」というのは、ちょっと難解で、ここはもっとストレートに巨悪と、先輩たちの力も借りながら戦う様子であっても、スカッとするのでは?
ちょっとついていけなくなっていた時に、目が覚めたのは他のヒーローのこと。時間旅行で過去に戻った時に会う「バットマン」にはマイケル・キートンが扮しているのは、なかなか粋。時を経た、その貫禄が〝時代〟を思わせると同時に、痛快明朗だったアメコミ・ヒーローの活躍ぶりが懐かしくもあり。「スーパーマン」もそうで、「空を見ろ!鳥だ!飛行機だ!・スーパーマンだ!」という名台詞と共に、あのテレビ版「スーパーマン」のジョージ・リーブスがモノクロの雄姿で登場する。余談ながら、リーブスは、あまりにもこの役のイメージが定着しすぎて、他に仕事が来なくなったのを苦にしてピストル自殺。その出来事は、小学生だった僕には大ショックだったのを覚えている。また、本格的に映画版として作られた「スーパーマン」の初代、クリストファー・リーブスも過去の映像を使って登場、これも懐かしい! 彼は乗馬事故で全身不随となりその後に亡くなったのを覚えている人もいるだろう。こうした〝2人のリーブス〟が栄光を得た後に不幸な死を遂げたのもドラマチック。
本筋とは違うけれど、そんな歴史や変遷も思い浮かべながら観たのだった。
〈ストーリー〉フラッシュこそバリーは、幼いころに亡くした母と無実の罪を着せられた父を救おうと、過去にさかのぼって歴史を改変。その世界に、かつてスーパーマンが倒したはずのゾッド将軍が襲来、地球植民地化を始めたことから、バットマンやスーパーガールとともに世界を元に戻し、人々を救おうとする。

(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved & TM DC

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA