「道頓堀 松竹 映画祭」
2023年5月2日~8日

外国人観光客も戻ってきて、にぎわう大阪・道頓堀。その一角に、ネオルネッサンス様式のアーチ型の玄関がひときわ目を引く建物(イタリア・ミラノのスカラ座をモデルにしたそう)がある。その歴史は古く日本初の鉄骨・鉄筋コンクリートとして1923年に竣工、開場。今年が100年を迎える。モノ言わぬ建物だが、1世紀のなかではさまざまな変遷とドラマがある。
例えば、宝塚歌劇団と並ぶ女性だけのレビュー劇団・OSK(現在・OSK日本歌劇団)はここが出発点。同年5月17日に映画の合間のイベントとして「松竹楽劇部」が「アルルの女」を上演したのが始まりだった。そのように、長年にわたって映画館として親しまれていたが、1997年2月に外観をそのままに演劇場に生まれ変わった。私は幼い頃にここで映画を観た記憶もあるが、近年は毎月のように芝居を観に通っている親しみのある空間だ。
さて、100周年にあたって、その映画館時代へのオマージュを込めて企画されたのが、この映画祭。無声映画から大ヒットした洋画、松竹ゆかりの「寅さん映画」、ジャニーズ事務所のタレントが主演した青春映画とバラエティーに富んでいる。「午前10時の映画祭」など過去に上映された作品が映画館で上映されることもあるが、雰囲気のある松竹座で観るのは、また違った味わいがあるだろう。
実は、私は映画ポスター・コレクターで1000枚ほどが自宅に「眠っている」。とはいっても、なかなか日の目を見る機会がないのだが…。上映作のうち10本ほどのポスターを所有しているので、自ら申し出て、これをロビーなどで展示してもらえることになった。行かれた時には、ぜひこれも「鑑賞」してみてください。
今後も、こういった企画を続ける意向のようで、「それなら、ぜひ『ブラックレイン』を!」と関係者に話した。というのは、まだ映画館だった時代、この劇場のすぐ近くにある戎橋で深夜にマイケル・ダグラス、高倉健らによる撮影が行われた。記者だった私は、取材と好奇心を兼ねてエキストラ(通行人役)に応募、その待機所が松竹座ロビーだった。さすが。アメリカ映画!ロビーには食べ飲み放題のケータリングがあって、けっこう快適に夜を過ごした記憶がある。残念ながら私のように「出番」はなかったものの、本末転倒で「食事」を楽しむ人も多くいた(笑い)。初公開後、何度も観てる映画だが、そんな思い出もあるので、ぜひここで観てみたいものだ。
コピーライトは下記になります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA