映画「湯道」
大阪ステーションシティシネマほかで上映中

ヒット作「おくりびと」で知られる小山薫堂が脚本を書いた「湯道」(東宝配給)が大阪ステーションシティシネマなどで上映されている。生田斗真、濱田岳、橋本環奈ら人気スターが競演した群像ドラマ。ヒューマンコメディの名手、鈴木雅之監督(64)は「お湯に浸かり裸の付き合いで、ほのぼのとしてほしい」と訴えかけている。
「湯道」とは小山が2015年から提唱している「茶道」「華道」「書道」などと同じような「道」のこと。日本独自の生活文化である「入浴」習慣。「感謝の念」「慮る心」「自己を磨く」の3つの精神が核となっている。「要するにお湯に浸かって疲れを癒し、元気になって明日も頑張ろうという気概を持つこと。映画は銭湯を舞台にその悲喜こもごもを描いている。お湯に浸かった気分で楽しく見ていただきたい」
鈴木監督は「プリンセス・トヨトミ」「本能寺ホテル」「マスカレード」シリーズなど群像ドラマのヒット作で知られる。「SF的な話もあるが、それをリアルなものと合わせて見せるエンタメ映画が多い。湯道の家元(角野卓造)が登場しその所作などが出てくるのはSF的でも、それを学び定年後は退職金で檜風呂を作りたいと願うサラリーマン(小日向文世)の話で表裏一体の構成になる。そこで笑って泣いてもらえたらうれしい」
主人公は銭湯「まるきん温泉」を営む兄弟、史朗(生田)と悟朗(濱田)、そこで働く看板娘のいづみ(橋本)の3人。「生田さんは三池監督の映画で裸の芝居に熟練しており、富士山の絵の下で湯に浸かるポーズは決まている。事実上経営を任されている弟の濱田さんが苦渋の表情をしている事情が明かされ、やがて一度は銭湯を潰そうと思った史朗が銭湯に通う人たちと触れ合うことで考えを変えていくというのが話の骨子になっている」
窪田正孝、吉田鋼太郎、柄本明、夏木マリ、寺島進、戸田恵子、笹野高史、吉行和子、クリス・ハート、厚切りジェイソン、ウエンツ瑛士、朝日奈央、生見愛瑠ら個性派大勢が競演。映画初出演の天童よしみが入浴シーンで歌う場面もある。「銭湯の豪華セットは京都の松竹撮影所に作ってもらい本物そっくり。俳優さんも驚きながら、ほのぼのと役を演じてくださった。お湯が幸せをもたらすというのは本当です」と鈴木監督はほほ笑みを隠さない。

写真は「見た人が元気になる映画にしたかった」と話す鈴木雅之監督=大阪北区のカンテレ

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