チャン・イーモウ初のサスペンス「崖上のスパイ」(中国)、
10日からシネ・リーブル梅田ほかで公開
熊切和嘉初の恐怖スリラー「#マンホール」(日本)
10日からTOHOシネマズ梅田ほかで公開

映画監督には得意ジャンルというのがあるが、ときおり異色作を発表するときがある。中国映画を代表するチャン・イーモウ監督(71)が初めて撮ったサスペンス映画「崖上のスパイ」(アルバトロス・フィルム配給)と、日本の熊切和嘉監督(48)が初めて撮った恐怖スリラー「#マンホール」(ギャガ配給)はそれに当たる。社会派アクション系の日中作家2人の新たな挑戦である。
イーモウ監督はデビュー作「紅いコーリャン」でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し以後、コン・リー、チャン・ツィーなどの美女と組んで秀作を連発した国際派。新作が1934年ころの満州国を舞台にしたサスペンス「崖上のスパイ」だ。中国共産党の工作員4人が、日本の傀儡国家である満州国ハルピンの秘密施設から脱走した中国人を保護するためにヘリで潜入するところから始まる。そこで目を光らせるのが満州国の特務警察で、そこから一触即発のスリリングな時間が描かれる。
主演は4人のリーダー、チャン・イーで、彼とコンビを組む女スパイにリウ・ハオツン(22)。イーモウ監督の前作でデビューした美女。作品は当時の時代のひんやりする空気感と、行き詰まる騙しあいのサスペンスが見どころで、哀愁が加わるのがイーモウ映画の魅力だろう。ユー・ホーウェィ、チン・ハイルー共演。
熊切監督は大阪芸大出身のアウトロー派だが、「海炭市叙景」「私の男」などが内外映画祭で高い評価を受けた国際派でもある。「武曲 MUKOKU」以来6年ぶりの新作「#マンホール」は結婚式を翌日に控えた男(中島裕翔)が夜の帰り道でマンホールに落ち上がれなくなり、地獄から逃れなくなる悲劇の物語。深さ8メートル、直径1・5メートルのマンホールの底で、足に傷を負い身体が思うように動かず古い縄梯子も切れかかっていて使いものにならない。あるのはスマホ一台のみ。賢い彼は婚約者や友人に連絡をするが…。
マンホールのある場所を相手に伝えるが、そこにマンホールはないと誰もが応じる。彼は少し酔っていたので場所を間違えたのか。因縁の元カノ(奈緒)が彼のことを真面目に考え心配するが、雨が降ってきてガスが周囲にたまり、絶望的な状況になる。彼はなぜ落ちたのか。落とされたのか。永山絢斗共演。怖い熊切スリラーである。
写真は「#マンホール」の中島裕翔(C)2023 Gaga Corporation/J Storm Inc.

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