映画「アメリカから来た少女」
1月6日からアップリング京都、7日から大阪のシネ・ヌーヴォで公開

台湾のニューウエーブといわれるロアン・フォンイー監督(32)の長編デビュー作「アメリカから来た少女」(A PEOPLE CINEMA配給)が6日からアップリング京都、7日から大阪のシネ・ヌーヴォで公開される。「自分の体験を踏まえて母と娘の葛藤に向き合って作った」というフォンイー監督に話を聞いた。
台湾で生まれて1歳の時に母と妹とアメリカに移住し、2003年に台湾に戻る。高校時代にフランスに2年留学し帰国後大学に入ったが、好きだった映画を学ぶため再びアメリアの学校に行き映画製作の修士号を取得という経歴の持ち主。「最初は短編で『おねえちゃんJieJie』を撮り、それを発展させる形で今回の長編につなげた。前者が姉と妹の話で後者はそれに両親が入り4人家族の物語になった」
日本の小津安二郎、是枝裕和監督が好きで「以前から家族の映画を作ろうと決めていた」と明かし、台湾で「百日告別」などの家族映画で知られるトム・リン監督の知己を得て今作が実現した。「私の体験だけでは作品は独りよがりになるので脚本に男性ライターの協力を得て、父とのやりとりなどを取り入れた。中国語と英語を話せる俳優さんに出てもらって、バイリンガルな家族の物語が成立した」
一度母国の父(カイザー・チュアン)と離れ、母(カリーナ・ラム)と妹(オードリー・リン)とアメリカで暮らしていたファンイー(ケイトリン・ファン)ら3人が再び台湾に来たのは母が乳がんで手術しなくてはならなくなったため。「強い母が病気で弱気になり、本来は励まさなければならないファンイーはその弱気が気に入らず反抗する。母と娘の葛藤の間に父と妹が入り一家に暗雲が漂う。当時台湾は感染症のサーズが蔓延していて背景が今と重なった」
母役のラムはカナダ生まれで「百日告別」で台湾のアカデミー賞の金馬奨主演女優賞を獲得した人。「母と娘の重要な契機になる耳そうじのシーンはラムさんの考えを取り入れた。ファンは映画初出演で、私の役どころなのでいろいろ聞いてきたが、まず自分の考えでやってほしいと頼んだ。私の半自伝的な話だが、家族4人の俳優さんとスタッフの意見を入れて普遍的な物語になったような気がする」
高校時代からのフランス映画好き。フランソワ・トリュフォー監督の「大人は判ってくれない」のファンで「主人公が似ているかもしれない」と微笑む。日本映画では成瀬巳喜男監督の「女が階段を上る時」が好きと屈託がない。今作は台湾の金馬奨で10部門ノミネート5部門受賞。ファンが最優秀新人俳優賞、フォンイーが最優秀新人監督賞、カメラのヨルゴス・バルサミスが最優秀撮影賞を受けた。
写真は「脚本は15回書き直して撮影した」と話すロアン・フォンイー監督(C)A PEOPLE CINEMA

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