映画「ミューズは溺れない」
2022年11月19日から大阪シネ・ヌーヴォで公開
淺雄 望監督インタビュー

大学で映画理論や映画制作を学び卒業後、助監督になった淺雄望(35)が初の長編に挑戦した「ミューズは溺れない」(カブフィルム配給)が11月19日から大阪のシネ・ヌーヴォで公開される。高校最後の夏を過ごす2人の女の子の青春を描く。「自分の青春を振り返り、未熟な部分を支え合う形で向かい合わせたかった」という淺雄監督に話を聞いた。
広島県出身。関大、立教大大学院で映画を学び、在学中に映写技師のアルバイトをしながら映画作りを始めた。「青春は暗いものと当時思っていましたが、今はそんなことないと誰かに伝えたい。この映画はそんな思いで企画しました」と話す。それは短編で撮った「怪獣失格」「分裂」「アイム・ヒア」「躍りだすからだ」といった作品からつながっている。卒後は助監督としてプロの大九明子監督らに付いた。
「今作は2019年に撮影を開始しコロナ禍で一時中断を経て2年がかりで完成。スタッフ、キャストをはじめ多くの方から優しい手を差し伸べていただいて自身の根暗さから想像できないほど前向きな作品になった」と経緯を振り返る。主人公は美術部で絵の勉強をしている朔子(上原実矩)と光(若杉凩)の2人。たまたまスケッチの時間、朔子が海辺の岸で足を滑らせ海に落ちる出来事があり、光がその光景を絵に描きコンクールで受賞。これが縁で2人は画家とモデルのような関係になる。
「見る、見られるという関係を以前から描きたいと思っていて、それを2人に託した。女の子同士のセクシャルティーな面も描けるし、10代のころ、うまくいかず、自信がない自分のことをそこに重ねた。朔子は光のまっすぐな目を意識しながら反発もし、向き合っていく。朔子は家で同居する父親(川瀬陽太)と再婚相手で妊娠中の女性(広澤草)の存在や引っ越しの準備などがあり何かともがいている。それを光がじっと黙って見つめている」
朔子は家で自分が描いた船の絵を元に、がらくたで船の模型を作っている。光がそれを手伝いながら朔子の部屋で過ごす時間が丁寧に描かれる。「船はやっぱり希望の象徴。2人の会話シーンの背景に脚本に書くときから考えていた映像を入れました」と撮影手法の一部を明かす。撮影は女性カメラマンの大沢佳子。共演は森田想、渚まな美ら。
TAMA NEW WAVEコンペティション グランプリ&ベスト女優賞(上原実矩)、田辺・弁慶映画祭 グランプリ&観客賞&フィルミネーション&俳優賞(若杉凩)を受賞。
ミューズは溺れない : 作品情報 – 映画.com (eiga.com)
写真は「好きな監督はスピルバーグさん」と話す淺雄望監督=西区九条のシネ・ヌーヴォ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA