「プリンセス・ダイアナ」
2022年9月30日から大阪ステーションシティシネマほかで公開
「スペンサー ダイアナの決意」
2022年10月14日からTOHOシネマズ梅田ほかで公開

エリザベス女王の逝去で英国王室は新しい時代を迎えているが、チャールズ国王が皇太子時代のプリンセス、ダイアナ(1961~97年)の実像と虚像を描いた映画が相次いで公開される。ドキュメンタリー映画「プリンセス・ダイアナ」(英国。エド・バーキンズ監督)と、劇映画「スペンサー ダイアナの決意」(英・独合作。パブロ・ラライン監督)の2本だ。
「プリンセス・ダイアナ」はノーフォーク州サンドリンガムのパークハウスで生まれたダイアナ・フランセス・スペンサーという名の女の子の波乱の半生をアーカイブフィルムで振り返り回顧した作品。20歳のときチャールズ皇太子と婚約、結婚したプリンセスはその美貌で一躍人気者になりイギリスだけでなく世界のアイドルとなり話題を提供するが、やがて夫の不倫、パパラッチとの闘い、そして別居、離婚と発展し、36歳のとき交通事故で非業の最期を遂げる。
死直後、エリザベス女王と王室が彼女について冷淡だったことも含めて、世界のダイアナファンから同情の声が上がると共に、王室とメディアの過剰報道に批判が集まり、悲劇のヒロインになる。映画はダイアナの表と裏の表情と、息子のウィリアム、ヘンリーとの幸せそうなプライベートな時間、あるいは傷ついた彼女の悲しい時間の映像ものぞかれる。
「スペンサー ダイアナの決意」は、ダイアナにアメリカ女優のクリステン・スチュワート(32)がふんし、皇太子妃時代の91年12月24日から3日間、エリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウスで行われた王室恒例のクリスマスイベントの出来事が描かれている。場所のサンドリンガムはダイアナの故郷でもあり、まず冒頭に一人で車を運転し道に迷い、廃墟になっている昔の家を探すところから彼女の心の中の乱れが読み取れる。
やがて目的の大きな館に到着し執事の男(ティモシー・スポール)から遅刻をたしなめられるところから彼女の悪夢の彷徨が始まる。すでに集まった多くの人たちの空間に息苦しさを覚えるダイアナ。唯一の救いだった衣装係のマギー(サリー・ホーキンス)がその場におらず、周囲の誰もが敵に見える。夫のチャールズ(ジャック・ファーシング)から贈られた首飾りが彼の愛人に贈られたものと同じだと知れいら立つ。3日目、夫が息子たちと狩りに出かけるとき、ダイアナはある重大な決意を固める。
ダイアナ・クリステンの表情、仕草が本人をほうふつとさせ美しく、内面を切なく悲しく演じている。米アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされたのもうなずける。チリ出身のラライン監督とフランス出身のクレア・マトンカメラマンがコンビを組み、2度のオスカー受賞歴があるイギリス出身の女性デザイナーのジャクリン・デュランの衣装も見どころ。日本出身の吉原若葉がヘアメイクデザイナーを務めている。
https://diana-movie.com/#modal
https://spencer-movie.com/#modal
写真は「スペンサー ダイアナの決意」のクリステン・スチュワート(c)2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED

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