「グッバイ・クルエル・ワールド」
2022年9月9日から大阪ステーションシティシネマほかで公開
西島秀俊(51)が強盗ギャングを演じるアクション映画「グッバイ・クルエル・ワールド」(ハピネットファントム・スタジオ配給)が9日から大阪ステーションシティシネマほかで公開される。仲間の斎藤工(41)、三浦友和ら(70)5人組と刑事の大森南朋(50)、やくざの鶴見辰吾(57)らのサバイバル活劇の一編。大森立嗣監督(51)の新作だ。
大森監督は俳優の南朋の実兄で、近年は「日日是好日」「MOTHERマザー」など家庭ドラマを志向していたが、秋葉原事件を扱った「ぼっちゃん」、不良高校生の「タロウのバカ」といった社会的アウトローを主人公にした作品も少なくない。今回も同路線の大人版で西島が落ちこぼれの元やくざの中年男・安西を「ドライブ・マイ・カー」の芸術家から一転して演じ、これに元全学連のじいさん・浜田(三浦)、フリーの犯罪者・萩原(斎藤)、借金を抱えた元会社員・武藤(宮川大輔)、大金と自由が欲しい風俗嬢・美流(玉城ティナ)が加わって強盗団が成立する。
襲うのはラブホテルの一室で行われているやくざ組織の資金洗浄現場。ここで働くホテルマン・矢野(宮沢氷魚)と美流が情報源で、安西らは1億円の現金をまんまとせしめるが、強欲な萩原が美流と武藤に分け前を配分しなかったことでストーリーは結末が見えない混乱に陥っていく。ヒゲ面と体中タトゥーの斎藤が怖い。やがてすぐ、やくざに雇われた刑事の峰谷(大森)と、金にありつかなかった美流とホテルマンが一味の後を追いかける。
途中、安西が離れて暮らす妻(片岡礼子)と子どもに会いに行っての悲しい話や、美流とホテル男が組んでの逆襲劇が展開されるのは映画「死刑にいたる病」の高田亮の脚本がなせる業で、誰が死に誰が生き残るのか最後まで分からない。最初に死ぬ宮川の演技がすごいのだが、若い玉城と宮沢の爆発の仕方が圧巻。西島と片岡の夫婦別れの哀感は「竜二」を思い出させる。
そして、最後に西島と大森の対決場面に至るが、ここは大森監督のダンディズムの演出があってカッコいい。浜田の三浦が話す「ゲバ棒」の時代は遠くなったようである。奥田瑛二、奥野瑛太、蛍雪次朗、前田旺志郎らが共演。
写真=「グッバイー」の西島秀俊(左)と大森南朋(C)2022「グッバイ・クルエル・ワールド」製作委員会
映画「グッバイ・クルエル・ワールド」公式サイト|2022年9月9日 (金) ロードショー (happinet-phantom.com)