「NOPE/ノープ」
2022年8月26日から
大阪ステーションシティシネマほかで公開
「BEAST/ビースト」
2022年9月9日から
TOHOシネマズ梅田ほかで公開
ユニバーサル映画の特撮大作2本が話題になっている。デビュー作「ゲット・アウト」でアカデミー賞脚本賞を獲ったジョーダン・ピール監督(43)のサスペンス・スリラー「NOPE/ノープ」(東宝東和配給)と、アイスランド出身のバルタザール・コルマウクル監督(56)のモンスターパニック「BEAST/ビースト」(同)がそれ。前者で謎の怪奇現象に震え、後者でモンスター・ライオンの出現に圧倒される。
「―ノープ」の舞台はロサンゼルス郊外の牧場。映画で使用する馬の調教を仕事としているOJ(ダニエル・カルーヤ)と、妹のエメラルド(キキ・パーマー)がそこで体験する恐るべき出来事が描かれる。父親が空から落下した謎の物体に殺されるのに続き、牧場の馬が脱走し、OJが追跡した丘の向こうに見たのは何だったのか。
それから牧場に異変が続くが、空の一部の雲の形が終始変わらず、その影に謎の飛行物体がいるのは間違いない。「ゲット・アウト」に続く第2作「アス」でのたたみ掛ける恐怖演出も思い出されるが、今回は大きな牧場だけでなく空から雲間から巨大な物体を襲わせるピール監督の演出は只事ではなく、それが正体を見せない仕掛けだから身がすくませられる。日本の黒沢清監督の「見えない恐怖」も入っており、ピール監督はスピルバーグ監督の「未知との遭遇」に影響を受けたと話している。(
「―ビースト」は医師のネイト(イドリス・エルバ)が2人の娘を連れて、今は亡き妻と初めて出会った南アフリカに長期休暇で訪れる所から始まる。現地で狩猟禁止保護区を管理する友人の家に寄り体験する恐怖が描かれる。そこには密猟者がいて、血に飢えたライオンが人間を襲うという。ネイトは日頃疎遠だった娘達と時間を大事にしながら冒険心もあってサバンナに出かけるが、そこでまさかの展開が待っている。
密猟者のためにライオンはすべての人間に敵意を持ちボスのモンスター・ライオンは凶暴に満ちている。やがて車でサバンナを散策中、それが現れ、ネイトと2人の娘を襲うシーンが映画の見せ場になっている。すごいのは本物のライオンに見えること。初めの急襲シーンは思わず身をすくめ「ワアーッ!」と声を上げそうになる。そこからもう逃げられない。この視覚効果CG技術は圧巻である。ちなみに現在はアフリカの26カ国でライオンは絶滅しているという。
写真①「―ノープ」のダニエル・カルーヤ (C)2021 UNIVERSAL STUDIOS②