「吉本興業110周年感謝祭 笑って元気に! いらっしゃーい!ツアー
桂文枝の落語家55周年記念独演会」
2022年7月16日 なんばグランド花月
ラジオ番組「ヤングタウン」、テレビの「ヤングおー!おー!」で人気者になった六代目・桂文枝(当時は桂三枝)がこの日、79歳の誕生日を迎えた。年齢からすると、〝いぶし銀の〟という形容詞が付く御大なのだが、おそらく本人はそれは本意ではなく、いつまでもばりばりの第一線で活躍する落語家であり、タレントでいたい…という気持ちが強いのだろう。この記念公演もそんな色合いが濃いもので、強い意欲とやはり押し寄せる「年齢の壁」といった両方を感じさせた。
落語家としては、ライフワークにしている創作落語を2つ。幕開きの「効果音の効果は効果的だったかどうか」は、ラジオ時代の効果音を題材に、自らが貝を擦り合わせて「カエルの声」を出したりする趣向。ただ、長い筒を吹いてほら貝の音を出そうとするが、なかなかうまくいかないのはご愛敬?
ジャルジャルのシュールなコントの次に東京から林家木久扇がかけつけてお祝い。彼もまた「重鎮」という言葉より、年齢を重ねても「軽やかさ」を目指す噺家としての共通点を感じる。
中入り後は、西川きよしとの漫才。「パンチDEデート」などでテンポの早い掛け合いを見せてきた2人。さすが、西川はいまもそのピッチは健在で、これまでより、いっそう〝ボケとツッコミ〟の色合いが濃くなったよう。弟子の桂三度のハイテンポの落語があって、創作落語の「親父の演歌」へ。
この噺は何度か聞いているが、この日(79歳の誕生日)はこれまでとは違う感慨があった。そして、ラストは劇中に登場する親父こと芸名・嵐龍太郎の歌謡ショーへ。派手な着流しでオリジナル曲「浪花の恋サブレ」を〝歌い上げる〟のが見どころなのだが、盛りだくさんの趣向で飛ばしすぎて…。生歌でなかったのは残念。うまさ、声量よりも、ここはまさに「魂の熱唱」が聞きたかった。

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