映画「猿ノ王国」
藤井秀剛監督インタビュー
7月2日から大阪・十三のシアターセブンで公開

ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭でアジアグランプリを受賞したホラー映画「超擬態人間」(2019年)などで知られる異色派の藤井秀剛監督(47)の新作「猿ノ王国」(POP配給)が7月2日から大阪・十三のシアターセブンで公開される。コロナ禍のワクチン騒動を扱った社会派フィクションで「日本の闇に怒りを込めて作った」と藤井監督は訴えている。
歌手で知られる、つんくさんが募集した映画企画に応募して採用された脚本を自ら映画化した「生地獄」(00年)が 監督デビュー作。和製「悪魔のいけにえ」と評判になった。アルフレッド・ヒチコック、ブライアン・デ・パルマら監督のファンで、ホラータッチのエンタメ・サスペンスが身上。中卒後アメリカに渡りカリフォルニア芸大で映画を学んでこの道を選んだ。
「コロナ時代になって社会の闇が深くなり、誰も責任をとらなくなった。そんな世の中に対して怒りを覚えると同時に、何かもの申したいと思って、今回の物語を作った。あるワクチン問題を巡ってスクープの報道番組を作ったテレビ局の報道マンが放送直前になって局内上層部の圧力で潰されそうになるという話で、それを報道マンの復讐劇と重ねて描き社会派スリラーに仕上げた」
自らインディーズの製作集団「CFA」を抱え「俳優はスタッフも兼ねる」というシステム。「猿ノ王国」に主演の坂井貴子はラインプロデューサーを兼ねており、藤井監督は撮影と編集を兼ねている。「今の日本社会は政治もそうだけど、変に責任分担が進み、自分のそれを他人に転嫁することが常態化。そのシステムというかトリックを暴く映画にしたかった」
祖母が戦前の満州(中国)で映画館を経営し、母親が戦後の九州博多で映画館仕事に携わった。「その流れで子どもの頃から映画好きになり、8㍉で映画作りを始めて今日まで続いている。インディーズで苦労はあるが、自分の好きなジャンルのエンタメ映画作りが理想。古くは成瀬巳喜男、近年では岩井俊二ら監督の作品も好きで、もう少し年を重ねてきたらそんな人間ドラマにも挑戦してみたい」
次回作は香港のジョシー・ホーを主演にしたホラー香港映画「怨泊」を3年がかりで撮りあげている。日本の高橋和也、白川和子が共演。もう一本、スマホカメラで撮ったサスペンス映画「闇国」も2部作で撮っている。

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