「ギリヤーク尼ケ崎という生き方」」著・後藤豪(草思社)

この人の「大道芸」は2回(しか)観たことがある。どちらもコロナ禍の前、はっきりした記憶はないが、最初は7、8年前の神戸・湊川神社。名前は知っていたが観たことはなく、新聞の小さな記事を見つけて行ってみた。ところが、そのための舞台やスペースはなく観客も集まっていないので、間違ったかな?と思っていると…。記事に書かれてあった時間あたりになると、周辺をぶらぶらしていた人たちが黙って、ある場所に集まってきた。それは、ちょうどスーパーで値引きシールを貼る前の光景(笑い)。そして、細い体の老人が現れて化粧をし始める。ここからが「大道芸」のスタート。初めて観るので、とても奇異な光景
なのだが、その様子を黙って観ている常連のような人々。それが、「じょんがら一代」という手書きの看板を持ち、津軽三味線(録音)が流れると、その老人がダイナミックな舞踊をはじめ、圧倒された。最後は水を全身にかぶって終演。これには躊躇することなく、自分も投げ銭を入れた。
確か、翌年には大阪ミナミのアメリカ村の三角公園でも行われ、何も知らない若者たちも巻き込んだ芸に感動した。考えてみれば、それは80歳代の頃。その後、テレビでドキュメンタリーも観て、もう「引退」されたのだろうと思っていたが、この本を読むと、92歳になり脊柱管狭窄症、パーキンソン症を患っているが、気持ちはまだまだ健在。読んでいて、うれしくなった。ぜひ、もう1度「大道芸」を観たい!

ギリヤーク尼ヶ崎という生き方 | 草思社 (soshisha.com)

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