「都をどり」

 (南座、2020年3月31日、大ざらえ)

 「都をどりは、よ~いやさ~」から、舞台上は舞妓たちの総おどり。これを観るだけで、ひととき日頃の憂さを晴らしてくれる。南座の「顔見世」を京の師走行事というが、これは京の春恒例の行事。とはいっても、2年間はコロナ禍のために中止されて、3年ぶりの開催(令和になって初めて)。いつもは祇園甲部歌舞練場で上演されるのだが、耐震工事のために今年は南座での公演となった。

 新聞記者だった若い頃、毎年招待状が送られてきたのだが、恥ずかしながら「なんのことやら、さっぱりわからず」無駄にしていたことを、いまになって悔やんでしまう。

 夏の下賀茂神社や秋の勝尾寺など関西の四季を8景で綴る。京舞・五世井上八千代の振付による舞、風情あふれる地方(じかた)の長唄、途中に鶴澤燕三が作曲、指導した浄瑠璃が入って心地よい1時間。

 くしくも、3月は京都文化博物館フィルムシアターでは「銀幕に舞い踊るー映画に見る舞踊」という特集をしていて、この日は「初世 中村鴈治郎 舞台のおもかげ」という名舞台の数々を撮った短編と「四世 井上八千代」ドキャメンタリー映画を上映していたので、足を延ばすことに。幼いころから三世の弟子となり修業を積んだ四世の在りし日の姿や「都をどり」の稽古、本番の様子も映し出され、まるで「昼夜」二本立てを観た気分に。

祇園甲部歌舞会 公式ウェブサイト:都をどりの公式WEBサイトです。 (miyako-odori.jp)

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