「魂神楽(みたま かぐら」(2022年3月27日、先斗町歌舞練場)

 京都・五花街の1つ、先斗町(ぽんとちょう)。春の名物「鴨川おどり」の舞台で知られる先斗町歌舞練場で、島根県の郷土芸能「石見神楽(いわみかぐら)」が上演された。それだけでも、〝異色の組み合わせ〟だが、益田市石見神楽神和会と文楽の竹本織太夫、日本舞踊の尾上菊之丞、日本音楽の吉井盛悟がコラボするというチャレンジ精神あふれる公演。

 数年前に、関西で石見神楽の常設館を作る計画があり、それに短期間だけ「参加」した経験があり、石見神楽を勝手に「近い存在」に感じていただけに、これは見逃せない。想像以上に、客席も埋まっていた。

 冒頭や、物語の途中に太夫、日舞、邦楽が入るのだが、あらすじの解説的、ナレーション的役割が濃く、「本格的なコラボ」とは至らなかったのは惜しい。

 演目は代表的な「岩戸」と「大蛇」。どちらも、知られている物語だし、それがなくてもダイナミックな舞い、太鼓や笛によるリズミカルな演奏で惹きつけられる。なかでも、8頭の大蛇が登場すると客席から拍手が。蛇たちが、さまざまなフィーメーションを見せる様子は、郷土芸能の領域を超える大スペクタクル。神事としてを踏まえたうえで、エンタテインメントとして、もっと広がる可能性があると感じた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA