「ベルサイユのばら50~半世紀の軌跡」
  2024年5月14日~19日
          梅田芸術劇場
       5月26日~6月9日  
          東京建物Brillia HALL

 宝塚歌劇団(以下、宝塚)に詳しくない人でも「ベルサイユのばら」(以下、ベルばら)というタイトルはよく知らている。宝塚が池田理代子の漫画を舞台化したのは1974年。ということで今年は50年目にあたり、7月から雪組で「フェルゼン編」が上演されることも決まっている。宝塚大劇場で初演された年、私は阪急今津線・宝塚駅から5駅の大学に通っていた。マスコミ、大衆文化を研究するゼミだったのだが、まだ宝塚への〝ハードル〟は高く、無縁のものと思っていた。そんな私でさえ、ブームが起こっていることは知っていて、ゼミの女子大生から漫画全巻を借りて、読んだのを覚えている。そのように恥ずかしながら、学生時代は1度も宝塚を観たことはなかった。それが後にスポーツ新聞社の文化部記者となり、宝塚担当もすることになった。
 今回の公演は、大阪・東京とも毎公演、ゆかりのOGが出演。私が観劇した回は、初演メンバーである榛名由梨、鳳蘭、安奈淳、麻実れい他が出演。いずれもいろいろな機会に取材をしたことがある人たちで、やはり私にはこの「昭和のベルばら」にシンパシーがある。冒頭に彼女たちが次々に登場し、「愛あればこそ」「白薔薇のひと」といった劇中歌を披露。退団後もミュージカルやコンサートなどで活躍しているOGたちなので、まだまだ声量もあり、楽曲にじっくりひたることができた。また、初演から演出を担当(今回は監修)している植田紳爾がトークコーナーで思い出話を語るのも嬉しい企画。ただ、榛名、安奈と共に「ベルばら四天王」と呼ばれるうちの汀夏子と初風諄(東京公演では出演)が出演していないことは残念だった。
 さらに、胸がジーンとする場面があった。アカデミー賞やトニー賞の授賞式を観ていると、亡くなった人の肖像を次々と映し出す「メモリアム」コーナーがある。この公演では、涼風真世が故人となったゆかりのスタッフと出演者を読み上げ、上原まり、順みつき、峰さおり、大浦みずき…らの在りし日の姿がスクリーンに映し出された。
 2部にわたって、「平成のベルばら」メンバーによるダイジェスト版を上演。ガラコンサートではない趣向に、「50年」の意気込みを感じた。

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