「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」
     2023年12月8日、全国公開

ワーナー・ブラザース映画から試写会の招待をうけて、この映画を鑑賞。その予習として、「チャーリーとチョコレート工場」をもう1度観ることにした。夢あふれる映画でカラフルな映像が印象に残っていたが、工場長の名前が「チャーリー」と勘違いしていた。それは工場に招待された少年の名前で、工場長はウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップが演じていた)。邦題のとおり、「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」は、ウォンカのその前の“夢のはじまり”を描いている。
原作はロアルド・ダールというイギリス人作家。ファンタジーの要素が濃い作風で、宮崎駿監督が彼のファンで、「紅の豚」「風立ちぬ」などでオマージュを捧げているとも言われる。私もいくつの短編を読んだこともあり、脚本を担当した「007は二度死ぬ」(日本が舞台)、空飛ぶ自動車が出てくる「チキ・チキ・バン・バン」もエンタテインメント作品として楽しめる作品だった。この映画は、彼の小説「チョコレート工場の秘密」と映画「チャーリーとチョコレート工場」からインスパイアされたオリジナルストーリー
オープニングは、自分が作ったチョコレートを街角で売るウォンカと、それを眺めていた人々が歌い踊るミュージカル・シーン。ウォンカを演じるティモシー・シャラメが、まるで〝ファンタジー〟から飛び出してきたようなさわやかなルックスで軽やかに演じている。その後も、母と死別した境遇などがテンポよく描かれていく。彼だけでなく、登場人物の〝キャラ〟が立っていて、仲間たちはもちろんのこと、ワル役もどこか憎めない人たちなのが特徴。例えば、ウォンカの出現に恐れるチョコレート組合の3人。いろいろなシーンで性格の違いを繰り返し繰り返し表現して、笑いを誘う。また、チョコレートに目がくらみ、大量のチョコレートをワイロにもらっていた警察署長が登場するたびに太っていくのも細かな演出。それに、〝禁断のチョコレート〟に手を出しているのが発覚するローワン・アトキンス(「Mr.ビーン」で有名)扮する神父。さらに、ウォンカたちを騙して拘束し働かせるミセス・スクラビットと愛人?のスラグワースは、「レ・ミゼラブル」のテナルディ夫妻のような役割で、これもかわいい悪人だ。
そして、極めつけはヒュー・グラントが演じた〝小さな紳士〟ウンパルンパ。ときにはウォンカの邪魔もするが、さすが頼もしい存在。この物語でできた絆が「チャーリーとチョコレート工場」での大勢のウンパルンパに繋がるというわけ。このように、監督・脚本のポール・キングが、いろいろなところに細かな伏線をめぐらせることで、俳優たちの怪演、登場人物たちの個性を光らせている。
試写は日本語吹替版で観たのだが、花村想太(Da-iCE)、セントチヒロ・チッチらの歌声が心地よい、そのなかで、〝小さな紳士〟の声は松平健が担当。観終わって、マツケンが歌う「サンバ」ではなく「ウンパルンパ」も耳に残った。
<ストーリー>夢見ることを禁じられた町で、 ウォンカは亡き母と夢見た世界一のチョコレート店をつくることができるのか―? 
監督・脚本:ポール・キング(『パディントン』(16)『パディントン 2』(18))/製作:デイビッド・ヘイマン(「ハリー・ポッター」シリーズ)/ 原案:ロアルド・ダール 出演:ティモシー・シャラメ/ヒュー・グラント/オリビア・コールマン、サリー・ホーキンス/ローワン・アトキンソン(「ミスター・ビーン」シリーズ)
日本語吹き替え・花村想太(Da-iCE)、セントチヒロ・チッチ、岸祐二、松本梨香、長田庄平・松尾駿(チョコレートプラネット)ほか。
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C) 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

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