「西遊記」

2023年11月3日~5日    大阪・オリックス劇場
11月10日~23日  福岡・博多座
12月27日~2024年1月2日
名古屋・御園座
12月16日~17日  札幌・カナモトホール
※「上映会&スペシャルトーク」
2024年1月6日~28日    東京・明治座

1978年から放送された「西遊記」はいまや〝伝説のテレビドラマ〟。孫悟空 ・ 堺正章、沙悟浄・ 岸部シロー、猪八戒 ・ 西田敏行(シリーズ2は左とん平)、そして三蔵法師・ 夏目雅子という異色で豪華なキャスティング、当時としては革新的な特撮を駆使して私も熱中した。いまでも。ゴダイゴによる「ガンダーラ」「モンキー・マジック」などは親しまれている。
そんな作品が日本テレビ開局70周年記念として舞台化され、全国の大都市を巡演。スタートを切る大阪公演を観劇した。私のような思い出を持つ人も多いのだろう、客席には中高年の人たちもつめかけた。孫悟空を演じる片岡愛之助をはじめ、小池徹平(三蔵法師)、戸次重幸(猪八戒)、加藤和樹(沙悟浄)、松平健(牛魔王)、中山美穂(鉄扇公主)と、これもまた異色で豪華な配役。しかも、脚本がマキノ・ノゾミ、演出は映画監督でもある堤幸彦とあって、映像をふんだんに駆使、登場人物を丁寧に描き3時間(休憩を除く)たっぷりの大作だった。 全体的な印象としては、良くも悪くもテレビドラマとは〝また違う作品〟。権利問題もあるのだろうか?「モンキー・マジック」のメロディはちらっと登場するものの、もう少し流れれば、テレビドラマのDNAを感じられるのに…とは思った。
孫悟空を演じる愛之助は、歌舞伎の発声、所作などをベースにした演技。やんちゃななか、〝人間味〟あふれるキャラクターを巧演。カーテンコールでは、なんと!横転、宙返りも披露。修業時代に「とんぼ」を稽古したのかもしれないが、大御所になっていま、身体的にもその技をこなす日ごろの鍛錬に感激した。孫悟空に寄り添う猪八戒役の戸次、沙悟浄役の加藤は、他の作品では「二枚目」が多いが、ここでは少し交えながら、ユーモラスな役柄。個人的には、戸次が佐藤重幸と名乗っていた頃、私の著書「男たちの宝塚」を原案にした舞台「宝塚BOYS」初演(2007年)に、父親が地方回りの役者だったという宝塚男子部員と役で出演。[え、御新造(ごしんぞ)さんぇ、おかみさんぇ、お富さんぇ、
いやさ、これ、お富、久しぶりだなぁ]という歌舞伎「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」に登場する与三郎のセリフを言う一場面があり、稽古場で苦戦する様子を見たことがあったが、今回の「西遊記」では愛之助の前で見栄を切る場面があったが、それが様になっていたのには感心、俳優としての成長を(勝手に)感じた。
物語で重要な役割を演じたのは、牛魔王の松平とその妻・鉄扇公主の中山。立場を超えた愛と互いに宙乗りを駆使した闘いは、やはり存在感があった。また、松平の殺陣も言うまでもなく見事!この他、藤原紀香が釈迦菩薩として映像で登場。彼女の手の内でしか暴れられない孫悟空=愛之助という2人の関係が実生活とダブって?みえる洒落た配役。ちなみに、2人は映画「翔んで埼玉~琵琶湖より愛を込めて」(11月23日公開)では、リアルに共演している。
登場人物の関係性が複雑でその解説が必要なこともあり、もうすこし凝縮できるとも思ったが、主演作が何本も製作できるほど豪華なキャストで「満腹」になった。

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