「SISU/シス 不死身の男」
2023年10月27日公開

主人公が人間離れしたアクションで敵をやっつける!という〝痛快アクション・ムービー〟は数えきれないほどある。この映画もたった1人で、ナチスと闘うというアクション。ただし、ヒーローはヒゲだらけのおじさんで、泥だらけ、血みどろになってのまさに〝血闘〟。地雷や機関銃による無残な死体もリアルに描かれているのだが、なぜか見終わったスカッ!とする、これも新しいタイプの痛快アクション。しかも、のどかな風土をイメージさせるフィンランド映画というのもおもしろい。
古い言い回しだが、第二次世界大戦の日本とアメリカは、「竹やりで戦闘機と闘うようなもの」とあまりにも違う戦力を揶揄されてものだが、この映画の場合は「ツルハシで戦闘機、戦車と闘うようなもの」。ナチス司令官から「あの男は怒らせるな!」という伝令が来るほどのその男。「強いかどうかよりも、絶対にあきらめない」というのが強さの秘密。そのとおり、機銃掃射を浴びても、地雷原に追い込まれても、縛り首にあっても起き上がり、ときには撃たれた傷跡を自分で縫って、ガソリンで消毒?する不死身の男だ。冷静に考えてみると、それはない?!という描写の連続なのだが、それよりも彼の怒り、執念に共感していって、リアルに感じていく。
いろいろな伏線を解読していって、しみじみと味わう映画もいいが…。敵を倒す!というわかりやすいテーマを、無骨に一直線に、しかも凝縮(1時31分)して描いたこんな映画は、かえって新鮮でもある。
〈ストーリー〉1944 年 第二次世界大戦末期、ソ連に侵攻され、ナチス・ドイツに国土を焼き尽くされたフィンランド。凍てつく荒野を旅する老兵アアタミ・コルピ(ヨルマ・ト ンミラ)は掘り当てた金塊を運ぶ途中でブルーノ・ヘルドル フ中尉(アクセル・ヘニー)率いるナチスの戦車隊に遭遇、金塊も命も狙われること。アアタミはいかにして戦い、そして生き抜くのか。
監督/脚本:ヤルマリ・ヘランダー 。出演:ヨルマ・トンミラ、アクセル・ヘニー、ジャック・ドゥーラン ミモサ・ヴィッラモ、オンニ・トンミラ。
2022 年/フィンランド/カラー/シネスコ/5.1ch/フィンランド語、英語 字幕翻訳:佐藤恵子/原題:SISU/91 分/R15+ 配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C) 2022 FREEZING POINT OY AND IMMORTAL SISU UK LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

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