「午前4時にパリの夜は明ける」

2023年4月21日 シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸ほか全国公開

1981年、離婚して1人の子供を育てることになった女性の7年間を淡々と描く物語ヒロインのエリザベートを演じるのはシャルロット・ゲンズブール。ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールとの間に生まれ、13歳の時に「なまいきシャルロット」(1985年)の主役でデビュー。この映画は当時、リアルタイムで観たがいわゆるアイドル映画とは違って、かわいいルックスに思春期のいらだちを表す〝演技〟でただものではないと感じさせた。そのとおり、大人の女性となってからも佳作に出演し続け、アイドル・イメージをみごとに払しょく。この映画でも絶世の美女役でもなく、またことさら悲劇のヒロインでもない人物を自然体で演じている。
もう1つ嬉しいのは、午前4時までの深夜放送ラジオのDJをエマニュエル・ベアールが演じていること。彼女もまたフランスを代表する女優。活躍はフランスだけにとどまらず「ミッション:インポッシブル」(1996年)などハリウッド映画にも出演。なかでも、印象的だったのは「美しき諍い女」(1991年)で、セリフが全くない4時間の作品で、官能的な魅力を存分にアピールした。
ことさら大事件や深い悲しみ、喜びがあるわけでもなく、登場人物が日々暮らすなかで、家族や他人との絆を強くする様子が描かれていく、いかにもフランス映画らしく、人々が〈等身大〉で描かれている。
脚本・監督=ミカエル・アース
〈あらすじ〉
1981年、パリ。結婚生活が終わりを迎え、ひとりで子供たちを養うことになったエリザベートは、深夜放送のラジオ番組の仕事に就くことに。そこで出会った少女、タルラは家出をして外で寝泊まりしているという。彼女を自宅へ招き入れたエリザベートは、ともに暮らすなかで自身の境遇を悲観していたこれまでを見つめ直していく。同時に、ティーンエイジャーの息子マチアスもまた、タルラの登場に心が揺らいでいて…。

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