「いちばん逢いたいひと」
2023年2月24日からなんばパークスシネマで公開

急性骨髄性白血病を克服した少女の数奇な運命を描いた「いちばん逢いたいひと」(渋谷プロダクション配給)が24日からなんばパークスシネマで公開される。AKB48のチーム4のキャプテン、倉野尾成美(22)がヒロインを演じている。大衆演劇の俳優出身の丈監督(56)は2本目の映画監督作で「人生苦しいことが多いがこんな温かいことがあると言いたかった」と訴えている。
丈監督は祖母が大衆演劇好きで、子どものころからよく芝居を見に連れて行かれた。そのうち梅沢武生劇団と仲良くなった祖母の紹介で同劇団に入団し15歳で舞台デビュー。「故武生座長がとても面倒見のいい人で、芝居と同時に台本の書き方も教えてくださった。それがきっかけで劇団をやめてからドラマ、映画、舞台と活動の場を広げていけた」とこれまでを振り返る。
劇団「JOE Company」を主宰し、そこで手がけた舞台を映画にした「7 NANA」(2019年)で初監督。「反社の人間が保育園を営むコメディでした。映画はチャップリンが大好きで以前から興味があって、今回は故瀬川昌治監督とゆかりのあった堀ともこプロデュ—サーから声がけしていただいた。彼女の実際の娘さんが白血病で苦しみドナーを得て手術し病気を克服。それを映画にして病気とドナーのことを世の中に知らせたいということだった」
「今はコロナ禍も合わせて大変な時代です。白血病は骨髄移植しないと命を失うケースもありドナー探しが難しい。主人公の楓(11歳のころを田中千空)はドナーが現れるのを辛抱強く待ち、やがて成長した彼女(倉野尾)がそれに巡り会い、健康を回復するまでを描いている。そのドナーは自分の娘が白血病で亡くなり、せめて娘と同じ境遇の少女のドナーになりたいと骨髄提供を申し出る。だが彼はある事情で仕事上失敗し苦しんでいる。そんな2人のドラマを交錯させた作品です」
ドナーになる男を演じたのは昨年映画「北国アウトサイダー」で主演・監督を務めた大阪出身の崔哲浩(43)。「実は私がそれを演じたかったのですが、結果的に崔さんにやってもらってよかった。倉野尾さんと崔さんでメロドラマのような哀愁が出た。倉野尾さんのお母さんに高島礼子さん、崔さんのお母さんに中村玉緒さん。2人のお芝居が作品の深みになっています」。 ほかに三浦浩一、不破万作、田中真弓、大森ヒロシらと丈監督も顔を出している。本名は「小野寺丈」。漫画家・故石ノ森章太郎は実父。

写真説明は「チャップリンのような笑いとペーソスが好きです」と話す丈監督=大阪市内

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