映画「ラーゲリより愛を込めて」
2022年12月9日から全国公開

辺見じゅん原作の「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を映画化した「ラーゲリより愛を込めて」(東宝配給)が12月9日から全国公開される。二宮和也(39)と北川景子(34)が夫婦を演じ第二次世界大戦直後のシベリア抑留で体験した悲劇を描いた実話の映画化。「命の刹那の大切さを今の時代に重ねて描いた」という瀬々敬久監督(62)に話を聞いた。
瀬々監督は「64・ロクヨン・前編/後編」「護られなかった者たちへ」などの社会派エンタメ作で知られるヒットメーカー。「映画は時代を映す鑑でもあるが、今回のシベリア抑留の話は終戦直後に起きた悲劇で、ソ連(現・ロシア)の捕虜になった60万人の日本人が巻き込まれ、最終引き揚げ船が舞鶴に入港したのは11年後の1956年。その間、極寒零下40度の地で生きた人たちの抑留生活は想像を絶する」
「僕は戦争を知らない世代だが、舞鶴の最終引き揚げ船の56年は僕が生まれる4年前のこと。自分の世代と関係がないとは思えず
今日のコロナ禍、ウクライナ侵攻など世界の出来事に遭遇していることも含めてシベリア抑留の悲劇を身近に感じながら撮影に臨んだ」と振り返る。今年公開の前作「とんび」も60年代前半の話(原作・重松清)で「つながっている」という。
中国の満州鉄道に務めていた山本幡男(二宮)が戦争に参戦したソ連軍に捕まり不当な収容所送りになるところから物語は始まる。妻(北川)と4人の子どもたちと引き裂かれ、日本での再会を約束するが、その後の生活は生き地獄。激冬の収容所でわずかな食料。過酷な労働が続く日々。一緒になった仲間の松田(松坂桃李)、新谷(中島健人)、相沢(桐谷健太)、原(安田顕)らと「ダモイ(帰国)まで頑張ろう!」と歯をくいしばる。
「二宮くんは『硫黄島からの手紙』でクリント・イーストウッド監督の薫陶を受けており軍人役を見事にこなし、北川さんはまっすぐに夫を信じ子どもを守る奥さんを美しく演じてくれた。二宮くんは収容所仲間の松坂くんなどみんが同世代でとても勉強になったと楽しそうに話していた。僕も二宮くんを真ん中にして共演のみなさんが人間的に心を一つにしていくプロセスを実際に感じ、悲しみの先に輝く日々があることを信じたいと思った」
瀬々監督の次回作は沢木耕太郎原作の「春に散る」。横浜流星・佐藤浩市のW主演作だ。

写真は「悲しみの先に輝く日があることを信じたい」と話す瀬々敬久監督=大阪市内

瀬々敬久監督に聞く

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA