2022年11月28日~12月12日
大阪松竹座で上演

東京の山手線と同じように、大阪には〝ぐるりと回る〟、JR環状線がある駅によって、さまざまな風景、人間模様があって、在阪民放の関西テレビでは1つの駅をテーマにした「大阪環状線」というシリーズを放送している。そしてメディアミックスとして舞台化もされて、今作が3作目となる。
テレビドラマや舞台の前2作も観ていて、〝ライトコメディー〟という先入観?で観たのだが、天満駅を舞台にした今作、まさか泣かされるとは思わなかった。
出演は月亭八光、佐藤江梨子が天満駅付近で小料理屋を営む夫婦を演じる。第1部は2005年という設定で、松竹新喜劇の演目「大人の童話」をベースにしたもの。妻の〝過去の男性〟の遺産、1億円を巡って、周囲の人々も巻き込んで起こる物語。「宝クジが当たった!」というウソは、ちょっと無理があるが、それをまじめにおかしく演じる近所の世話焼きらが、おかしく、ある意味でほのぼのと楽しめる。そして、2人の娘を演じた子役(ダブルキャスト、観劇日は吉田梨湖)が達者。家を出ていくとする父親を引き留めるシチュエーションが、オーバーではなく、こんなことがあるかも?と思えて、ホロリとさせられた。
そして、第2部は2019年に時が進み、オリジナルストーリーなのだが、テーマはL性同一性障害で、こうした商業演劇ではあまりストレートに取り上げられなかったことを声高にではなく、わかりやすいスタイルで描いている。「娘」から告白された両親が、それをうけとめる姿にまたホロリ。これは、なかなかの掘り出し物!と拍手にも力が入った。
写真(C)松竹

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