カヅラカタ歌劇団第20期秋の本公演「ポーの一族」
2022年10月8日、東海高校講堂
タカラヅカではなく、カヅラカタ。東海地方の進学校としても知られる東海高校(男子校)の部活として誕生した「カヅラカタ歌劇団」。本家・宝塚歌劇団の人気演目をカットなしで全編を〝完全コピー〟する公演が人気を集めて、抽選制でなかなか取れない観ることができないほどの人気劇団になっている。そんな情報は以前から知っていたが、これまで観たことがなく、今回は幸いなことにそのチャンスに恵まれた。しかも、演目が萩尾望都の原作を宝塚では小池修一郎が脚本・演出した「ポーの一族」と好きな作品。U-NEXT有料配信で〝予習〟して名古屋へと向かった。
正直言って、彼らにどれほどの演技力、歌唱力、ダンス力があるのか、完成度は?疑っていた。しかし、そんな「不安」は吹っ飛び、ぐいぐいと惹きつけられていった。確かに出演者の技量に大きな差はある。しかし、彼らにはそれを補うにあまりあるほどの熱量がある。一言で〝コピー〟といっても、さまざまな解釈があり、おふざけで外見的なことだけをマネする芸?がテレビなどではびこっている。しかし、ここでのスタンスは正反対。披露しているのは、誤解や偏見を抱かれがちな煌びやか世界でもあるが、そこには教育と共通する「勉学」という真剣で真摯な姿勢があり、観ているわれわれにそれがひしひしと伝わってくる。「よく、頑張っている!」といった文化祭の発表行事などで使う言葉、評価のはるかに上をいく完成度がある。なかでも、ラスト近くのショーからフィナーレに至る様子は、いきいきとしていて〝素顔〟さえ垣間見えた気がした。
最後のあいさつによると、この公演で高校2年生が卒業し、中学生を含めて劇団員は10人になるという。勉強と共にこれだけのレベルに達する部活動を並行するのは大変だろう。この公演の完成度、舞台にかける熱情を観て、参加する人が増えることを願っている。

東海高校カヅラカタ歌劇団 (fc2.com)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA